あなたならどうする、その6、別れないでくださいね
あなたならどうする、その6、別れないでくださいね
家に帰った時、妻は明るく「おかえり!」と出迎えた。
私「話しがあるから風呂から出るまで起きててくれ」
妻は強張った顔で風呂から出て来た私を見ていた。
私「一昨日の事、俺も色々考えたんだけど・・・
リナの気持ちを無視して悪かった」
妻「えっ、あ、ありがとう、分かってもらえて嬉しい」
私「これからも無理しないでやって行こうな」
妻「うん、私の方こそゴメンね」
これからこんな“騙し合い”の生活が始まるのかと思ったら、
なぜか可笑しくなってきた。
さすがに今週は会わないようにしてるのかと思っていたら
木曜日の夕食時に
妻「明後日の土曜なんだけど、友達と会って来てもいいかなぁ」
やはり土曜日、麻美さんが旦那に出掛ける事を伝えたんだと感じた。
ちょっと前に比べると言い方が少し変わったが、
やはり会わずにはいられないのかとも思った。
私「いいけどさぁ、帰りは何時ぐらいになる?」
妻「行ってみないと分からないけど」
私「俺も土曜は出掛けようかな。でもさ、夕食はどうする?」
妻「私は食べてくるかも」
私「そうだ、当日に電話するよ。必ず出ろよ、前みたいに何回掛けても
留守電なんてダメだぞ」
ちょっと皮肉を込めて言ってみた。
そして土曜日、妻は着飾り化粧をして一足先に出掛けようとしている。
私もそれに合わせて出掛ける準備を始めた。
私「一緒に出掛けるから、途中まで一緒に行こうよ」
妻は一瞬驚いた顔をしたが「うん」
と返事をして支度を急いでいた。
途中のターミナル駅で別れたが、
何回か振り返り私を見る姿が印象的だった。
私は、書いてもらった地図を見ながら麻美さんの実家である三井清蔵邸に
約束の5分前に到着した。
あの有名な○○商事の重役がどんな人なのか、
ちょっとワクワクドキドキした。
高い外壁に囲まれた扉のインターホンを押すと麻美さんが出て、
中に入るように言われた。
中に入ると家が見えたが、想像していた通りの立派な豪邸で、
かなり近代的な建物であった。
玄関の所に、麻美さんが出て来てくれていた。
簡単な挨拶を済ませ家の中に入り、リビングルームへと案内された。
部屋には、すでに横山氏が居て軽く会釈をした。
麻美「紹介します、父の三井清蔵と母の好美です。
こちらが堀切さんです」
私「初めまして堀切です。今回はなんか大変な事になってしまい何と
言って良いか・・・」
三井「まあ、こちらに腰掛けて下さい」
三井さんと対面するように横山氏の隣に座ると、
奥さんが冷たいお茶を出してくれました。
飲みながら周りを見渡すとビリヤード台があった。
私「ビリヤード台が有るなんて、凄いですねぇ」
三井「ビリヤードするのかい?」
私「最近はしてませんが、前は良くやってました」
自分で言うのもなんですが、
私はビリヤードで小使い稼ぎをしてた頃があるぐらい上級です。
三井「そうかい、じゃぁ後でちょっとやろうよ」
ニコニコしながら撞くポーズをしました。
麻美「気を付けて下さいね、
父はビリヤードの事になると人が変わりますから」
三井さんは微笑んだ後、キリっとした顔になり
「じゃあ、本題に入るか」と言って話し始めた。
堀切君は直ぐにでも決着を付けたいだろうが、もう少し我慢してくれよな。
親バカと言われればそれまでだが、俺はな、あいつの事は許せないんだよ。
だから、それ相当の罰を与えたいと考えてる。
早ければ後5日ぐらい、遅くても10日ぐらいで何とかなるから。
その代わりと言っては何だが、今回の費用はみんな俺が持つから頼むな。
麻美「私からもお願いします」
私「知る事が出来たのは皆さんのお陰ですから、当然待ちますよ」
横山「今後の事ですが全て私に任せて下さい」
私「それはもちろん」
横山「堀切さんは、奥さんとはどのようにと考えていますか」
私「離婚しようと思います」
麻美「その事で、お願いがあるのですが」
私「なんでしょう?」
麻美「本当に勝手なお願いなのですが、堀切さんは当分の間、
離婚しないでもらいたいのです。
両方の家庭が離婚して、もしその後あの2人が一緒になったらと思うと
我慢できないの」
私「俺も同じ気持ちですけど、今は何とも言えないですね、
自分でもどうなるか」
横山「その事も含めて、上手く持っていきますから安心して下さい」
続けて今後について細かい話しを始めた、
横山氏の計画に全員で聞き入り納得した。
後は“その日”を待つのみだ。
確認と言う事で、妻の仕事の事や実家の事などを聞かれので教えた。
私も寺岡敏文の事を教えてもらった。
年齢は34歳。地方の国立大学を出て今の会社に入り現在に至る。
家族は両親と妹がひとり。実家は○○県××市の海沿いの町で中型の
スーパーを経営している。
三井「まったく親の面倒も見てやったのに、本当に馬鹿な男だ」
三井さん曰く、小さな商店だったのを今のスーパーに
してやったという事だ。
その他、分かった事は麻美さんが38歳で子供は居ない、
弟がひとり居るが今はアメリカの会社で働いているそうだ。
横山氏がカバンから証拠の全てが入ったDVDと資料の
入った封筒を私に手渡した。
横山「動画と音声は必要の無い部分はカットされています。
音声はデジタル処理されているので聞き取りやすいです」
私「ありがとうございます」
横山「絶対に見付からないようにお願いしますね」
私は「はい」と返事をして続けて聞いた。
私「今日も興信所にお願いしているんですか?」
麻美「もちろんよ」
私「今日も含めて今後のも、頂けますか?」
麻美「良いわよ、先生そのようにお願いしますね」
横山「分かりました」
私「お願いします」
横山「それでは今日はこれで失礼します」
三井「そうだよな、横山君も早く帰って家族サービスしないとな」
帰る横山氏を、みんなで見送った。
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