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私の知らない妻、その70、悠莉子を助けなくては‥と。

余談です・・メモ1
特許権を取得するためには、「特許願」及び権利を取りたい技術内容を詳しく記載した「明細書」、「特許請求の範囲」、「図面」(必要に応じて)、「要約書」を作成し、特許庁に出願(提出)する必要があります。
それらの様式は、下記しました「出願原紙」をクリックし名前付けコピして下さい。
書き込み時の確認事項は以下の通りです。
(1)用紙は、日本工業規格A列4番(白色のものを縦長)
(2)文字は、10ポイントから12ポイントまでの大きさです。基本 半角を用いてはなりません。
(3)書き方は左横書、1行は40字詰めとし、1ページは50行以内とし、各ページの上の余白部分の右端にページ数を記入して下さい。
(4)余白は、少なくとも用紙の左右及び上下に各々2cmをとり、原則としてその左右については各々2.3cmを越えないものとして下さい。
(5)とじ方は左とじとし、容易に分離し、とじ直すことができるように例えばステープラー等を用いてとじて下さい。

出願原紙

私の知らない妻、その70、悠莉子を助けなくては‥と。

【継続調査中】と記載された項目に、

澤田統括部長が非合法的な組織の人間との深い交遊関係と

薬に纏わる噂についての記述がありました。

プライベートにおける接点が不可解であるそれら

非合法組織の人間との交遊と薬物に関する噂。

そう‥火の無い所に煙りは立たないのです。

本社の営業部門のトップとして君臨する統括部長にそのような疑いがあり、

疑いを裏付けるような証拠が存在していたならば‥

間違い無くただでは済まない筈です。

私はあのDVDに記録されていた妻悠莉子との性行為の時の

異常なまでのハイテンションの澤田統括部長を‥

そして関西弁を話すあのイボマラの竿師、

そして一種独特の威圧感と威厳を持ち合わせていた初老の男性の

事を思い出していました。

もしこのファイルに記載されている澤田統括部長の薬物に

関する疑惑と、非合法組織の人間との関わりが立証出来れば、

間違いなく澤田統括部長は表舞台から

消え去らなくてはならないでしょう。

それでなくとも澤田統括部長が、

私の妻である悠莉子に行った数々の常識を逸した行為だけでも、

明らかに事件として立件出来る要素があるのですから‥。

これらの事柄を社内の事情を詳しく知る塔子の情報と照らし合わせ、

研ぎ澄まされた刃の如く必殺の材料にしなくてはなりません。

明確で逃げ道の無い場面での問答無用の告発。

どんなに澤田統括部長が弁舌豊かに否定しようとも、

ボイスレコーダーに録音した内容にDVDの映像‥。

これら全てが動かぬ証拠となる筈なのです。

しかし‥ しかしなのです。

これらを完膚なきまでに仕上げるには‥ 妻である悠莉子を‥

妻悠莉子の行為を‥その録画された痴態までをも同時に

晒さなくてはならないのです。

例えそれが、妻悠莉子にとっても澤田統括部長を潰せるのなら

望むところであったとしても、

その事によって降り懸かる返り血は悍ましい記憶とあいまって、

妻悠莉子の体を染めたまま永い年月消え去る事は無いでしょう。

その理不尽さに割り切れぬ思いのまま、

自問自答を繰り返す私が居ました。

リビングのソファーに体を預けるように

しながらどれぐらい時間が経ったでしょう。

私は、妻悠莉子のベッドに腰を降ろしながら、室内を見回し、

ある種の驚きと感慨に耽っていました。

あの雑然とした仕事の資料などで埋め尽くされていた筈の机の上は、

綺麗に片付けられ、寝室全体が見事なまでに整理整頓されていました。

それはまるで決意の身辺整理でもした如くに。

私は妻の覚悟を‥妻悠莉子の無言のメッセージを

感じ取った思いでした。

【私の‥私の無念を晴らしてと‥】

妻悠莉子の不貞行為は決して許される物では無いです‥

しかし‥ しかし、妻悠莉子の心中を思うと‥

私がDVDの内容に衝撃を受け事故を起こして入院し、

その間、妻悠莉子は私の寝室のノートパソコンの中の

DVDを見つけてしまい、全てが私に露見してしまった事を知り

、どの様な気持ちで一人自分の寝室を片付けていたのかを思うと、

私は胸に熱い物が込み上げて来ていました。

澤田統括部長に凌辱され続け、

その行為を断ち切る事が出来ぬ自分に深い自責と

後悔の念を抱き続け、精神的な疾患まで負いながらも、

何とか私には露見しない形で澤田統括部長との事を

片をつけるべく動いていた妻悠莉子。

しかしそれらも全て私の知る所となってしまって‥。

こわれかけた夫婦の絆‥

何を甘い事をと笑う方もいらっしゃるでしょう。

でも‥それでも私は妻悠莉子を救ってあげたい。

そしてこの先にどんな苦難があろうとも

【お互いを尊重し慈しみ合える姿に戻したい‥】

私自身も、妻悠莉子の事で割り切れぬ物が‥

消し去る事の出来ない複雑な思いが残る事は分かってはいるのです。

何百、何千と自問自答を繰り返しても結局は答えは同じなのです。

悠莉子を助けなくては‥と。

気が付けば、私は悠莉子の寝室で佇んでいました。

このお話は未完の為、続編完成までお別れです、すいません










私の知らない妻、その69、調査結果

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私の知らない妻、その69、調査結果

『しかし‥どんな事をすればこれだけの事が分かるのですか?‥

まるでその家庭の中に居なくてはとても分からないような事までも‥』

調査員は口元を緩めながら笑顔で

『餅は餅屋ですよ‥

取り敢えず今日の段階でお渡し出来るのはここまでです。

まだ結論が出ていない案件もありますので継続調査も

致しますのでご安心下さい。

そのファイルに記載されている事で

不明な事がありましたらいつでもご連絡下さい‥

では、万事上手く行きますように私達も願っております‥』

『ありがとうございます‥』

私は御礼の言葉を述べながら調査員の差し出した右手を

私は力強く握り返し、調査員のワゴン車を後にしました。

走り去る探偵社の調査員が乗ったワゴン車を見送りながら私は、

込み上げて来る喜びを抑え切れないでいました。

これであの澤田統括部長を潰せる‥

妻悠莉子を陥めたあの憎き澤田統括部長を。

私は調査員から手渡されたファイルを片手に

しばしその場に立ち尽くし、ほくそ笑んでいたのです。

この後、私は保険会社の担当者と追突事故のお相手に

お詫びに出向き、あらためてお詫びし諸々の手続きを終えました。

幸いな事に、私が追突したお相手には怪我も無く、

車両修理と休業保証的な事で話し合いが成立しました。

その後、保険会社の担当者に自宅マンションまで

送って貰った私は、締め切られていたカーテンと窓を

開けて外気を取り込み、

リビングのソファーに倒れ込むように身を沈めました。

ここまで緊張感を持って行動していたからのなのでしょうか?

探偵社の調査員に会って澤田ファイルを受け取り、

保険会社の担当者と事故処理をしていた時には

大して体の痛みなどは感じていなかった私でしたが、

自宅に戻り安堵したせいなのでしょう、

背中から首筋にかけて張りが出て、

体全体が鉛のように重たく感じられていました。

そして何よりも妻悠莉子の居ないこの空間と、

どんな形であれこちら側にも大きな痛みが伴うであろう今後の

澤田統括部長に対する復讐劇が、

より体を重たく感じさせていたのかも知れません。

『フゥ‥ぅ‥ぅ‥ 』

誰も居ないリビングで大きく溜め息をつきながら私は

調査員から渡された澤田統括部長に関するファイルを

あらためて目を通していました。

【何処を攻めればより効果的なのだろう?‥】

ファイルを読み進める中で、私はあるページに釘づけになりました。

何処を攻めれば、より効果的なのだろう?‥】

ファイルを読み進める中で、私はあるページに釘づけになりました。

そのページには澤田統括部長の妻に関する事細かな記述がありました。

先代社長の三女であり、

先代社長からは今だに他の兄姉よりも溺愛されている三女。

澤田統括部長より年齢は4歳年上で、

付属された写真を見るにお世辞にも美しいとは言えない容姿。

厚く塗った派手な化粧、腫れぼったい瞼に団子鼻に薄い唇‥

そして小肥りな体型。

当時、ビジネスセンスにおいて将来を

有望視されていた澤田統括部長が、

行き遅れていたこの先代社長の三女の相手として

白羽の矢が当たり、

結婚したとファイルには記載されていました。

子供は女の子が二人。

この子供達がまた先代社長である祖父から

目に入れても痛くない程に溺愛されているとの記載も。

そして家庭内での澤田統括部長の立場は先代社長夫婦とは

別に居を構えて暮らしているとはいえ

【明らかなマスオさん状態】であり、

ありとあらゆる権限は妻に握られているとの記述がありました。

この先代社長の三女の凄まじい嫉妬深さについての記述までも‥。

他のページにも非常に興味深い内容が記述されていました。

それは澤田統括部長が取引業者に様々な便宜を図る見返りとして、

個人的にリベートを受け取っている可能性についてでした。

この二つの項目があればあの澤田統括部長を十分におとしめる事が出来る‥

そう確信した私でしたが、私の中で何かまだ足りぬと言った感があり、

この程度で済まして良い物なのか?と自問自答しておりました。

パラパラとファイルをめくる中、

またしても気になる記述を発見しました。

【継続調査中】との中に、澤田統括部長が非合法的な組織の

人間との深い交遊関係と薬に纏わる噂についての記述がありました。

プライベートにおける接点が不可解であるそれら

非合法組織の人間との交遊と薬物に関する噂。

そう‥火の無い所に煙りは立たないのです。







私の知らない妻、その68、1番失いたく無い物を粉々にしてやりたい。

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私の知らない妻、その68、1番失いたく無い物を粉々にしてやりたい。

この入院中、偏頭痛や所々の痛みに耐えながら、

私は私なりに今後の事について考えていました。

妻悠莉子の事、澤田統括部長の事、

澤田統括部長と一緒に悠莉子を蹂躙した連中の事‥。

そして私自身の事も。

たかが浮気なのかも知れません。

しかし‥されど浮気なのです。

澤田統括部長の偏執的なやり口に嵌まった妻悠莉子。

自己防衛の為とは言え、

解離性同一性障害のような症状が出てしまう所まで

澤田統括部長に追い詰められてしまった妻悠莉子‥。

例えそれが幻影のような物だったとしても、

夫婦二人の幸せな日常を最悪の形で踏みにじった澤田統括部長の

数々の所業。

私の忍耐もすでに限界を越えていました。

理性を持って考え、

行動しなくてはならない事は分かっているのです。

だけど‥だけどもう限界なのです。

どんな手段を用いても、あの澤田統括部長だけは‥

あの男が1番失いたく無い物を粉々にしてやりたい。

人格が崩壊するまでとことん追い込んでやりたいと‥。

私は退院した足で、

そのまま澤田統括部長の身辺調査を依頼していた探偵社の

調査員と会うべく待ち合わせ場所に向かったのでした。

私は待たせていたタクシーに乗り込みました。

一体どのような調査結果が出ているのか?‥。

調査員が持って来た情報は、

私の想像や期待を遥かに上回る物だったのです。

探偵社の調査員との待ち合わせ場所に選んだのは

市立図書館の駐車場でした。

私はタクシーから降り、予

めメールにて聞いていた調査員の車を探しました。

白いワゴン車‥ 白いワゴン車‥

その白いワゴン車は駐車場の奥まった目立たぬ場所に

ひっそりと停められていました。

運転席に座るサングラスを掛けた男性が私の姿を

見て軽く会釈をしました。

私は痛みが残る体を庇うように、ゆっくりとした歩調で

白いワゴン車に近付き、身振り手振りで助手席を指差し、

探偵社の調査員も手招きをしながら助手席を指差し、

私を車内へと誘いました。

【カチャッ‥バタン‥ッ‥】

助手席のドアを開け白いワゴン車の車内に乗り込んだ私は

『はじめまして〇〇です‥

お電話では何度かお話をしているのですが‥

何やら‥変な気持ちですよね‥

今回はお世話になります。』と挨拶しました。

調査員の男性も私の畏まった態度に恐縮の体で

『こちらこそ宜しくお願いします。

しかし事故とは大変でしたね。

もうお加減は大丈夫なのですか?』と言葉を返し、

後部座席に置かれた銀色に鈍く輝く

ブリーフケースからファイルされた書類を取り出して

『怪我の痛みが吹き飛ぶぐらいに御期待に添える内容だと

良いのですが‥』

と私に手渡しました。

私はその内容に期待に胸を膨らませながらファイルされた

【澤田統括部長のアキレス腱】

を一枚、一枚と確認し始めました。

その内容は正に息を飲む如くの物でありました。

私は憑かれたようにファイルを一気に読み進めました。

生年月日から始まり、澤田統括部長の素行、家族構成、

住居、身内での立場に金銭状況‥、

それらに付随した事細かな写真の数々‥

よくも短期間にこれだけの物を‥と、

感嘆する程のその密度の濃い見事な調査内容に、

私は全身に鳥肌が立つ思いでした。




私の知らない妻、その67、酷い‥酷い‥ 嘘つき‥





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私の知らない妻、その67、酷い‥酷い‥ 嘘つき‥

《終わったのかも知れない‥

もう悠莉子の温もりを感じる事は出来ないのかも知れない‥ 》

そんな気持ちに苛まれていたのです。

どのぐらい時が過ぎたでしょうか?

塔子だけが病室に戻って来ました。

《悠莉子は? 悠莉子はどうしたのだ?》

そんな私の気持ちを見透かしたように塔子は

『大丈夫よ‥ お兄ちゃん。

悠莉子‥動揺が酷くて、精神的に不安定になってしまっていて‥

詰め所の横のベンチに座って私が

落ち着かせようとしていたんだけど、なかなか動揺が収まらなくて‥

それを見かねた看護師さんが心配してくれて‥

すぐにドクターに見せてくれたの。

今、安定剤を打って貰って処置室で眠っているわ。』

『そうか‥ 』

私は少しだけ安堵しました。

『でも‥お兄ちゃん、驚いたわよ。

事故だなんて‥

ここに来る途中で車を見て腰を抜かしそうになったわ。

フロント潰れてグチャグチャなんだもの‥』

『あぁ‥そうらしいな。シートベルトとエアバックが

無ければヤバかったらしい‥

あの3枚目のDVDを見た直後だもの。

俺もテンパってしまっていたんだよ。』

『悠莉子‥お兄ちゃんの部屋でノートパソコン見てしまって

凄い剣幕で私に電話して来て‥

〔酷い‥酷い‥ 嘘つき‥

何故‥あの人にDVDを見せたりするの?

あんな物を見られてしまったら‥

塔子さんの嘘つきっ!て‥〕

最初は事情が飲み込めなかった私も、

話が見えて来て慌ててマンションまで飛んで行ったわよ。』

『済まなかったな‥ 』

『うぅん‥ 謝らないでよ。 でも‥もう隠していても意味が無い‥

私は私でその意味を分かった上で、全部話してしまったの。

あのDVDの事があるから、

言わなければ言わないで悠莉子には説明がつかないし‥』

私は塔子の言葉に頷きながら

『結局、これで良かったんだよ‥

探偵社からの報告を受けて澤田統括部長の弱みとかが分かった段階で、

悠莉子とは膝を突き合わせてこの10日間の事を話さない訳には

いかなかったんだ‥ これで良かったんだよ‥』

私は自分自身に言い聞かせるように言いました。

『これで良かったんだよ‥』

私が自分自身に言い聞かせるように言った言葉。

その言葉にしばし無言のままで私を見つめていた塔子が

『お兄ちゃん‥ 今の状態の悠莉子を一人にしておく訳に行かないから、

私の実家でお兄ちゃんが退院するまで預かるね。

もうお母さんにも言ってあるから‥

仕事も休ませてあげた方が良いと思って‥

私から会社の方には連絡を入れておくから。

澤田部長との音信も絶った方が間違い無いのだし‥。

悠莉子には携帯は留守電にして、

メールも開かないように言っておく。

何かあれば私の実家に直接連絡して。』

私は塔子の気遣いに感謝し

『何から何まで済まない‥

悠莉子の事は後回しになりそうだが、

これで澤田潰しに専念出来そうだ。

俺も検査入院程度の事だから2.3日で退院出来そうだし、

早ければその辺りで探偵社からの連絡もあるだろう。

退院した後も、今週いっぱいは自宅療養の名目で仕事も休む。

全て今週中に決着をつけてやる。』

『分かったわ‥

でもお兄ちゃん余り無理はしないでね‥

頭を強く打っているんだし、ムチウチは後々に痛くなるんだし。

私も調べられる事、やれる事は何でも協力するから。

じゃあ私は悠莉子が心配だから付いているね。』

『あぁ‥本当にありがとう。

悠莉子の事を頼むな。』

塔子はニッコリと微笑み病室を出て行きました。

結局、私はこの日曜日から火曜日まで、諸々の検査、

経過観察を経て水曜日の午前中に退院する事が出来ました。

悠莉子も精神状態が少しづつ安定し、

叔母に付き添われて退院する私を病院まで迎えに来ました。

私は叔母に甘えついでにもう一日だけ悠莉子を

預かって貰いたい旨を伝え、悠莉子には

『何も心配しなくていい‥

どうしても済ませなければならない事があるからもう一日

叔母さんの所でゆっくり休んでいてな‥』 と告げて、

不安気な表情の妻悠莉子をよそに私は叔母に一礼するようにして

叔母に悠莉子を託したのです。








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私の知らない妻、その66、気まずさから一人では私に顔向けが出来なくて

私が横になるベッドの左隅で、

私から距離を置いて青ざめた表情のまま立ち尽くす妻悠莉子。

何を言えば良いのだろうか?

何を口にすれば‥。

私には言葉が見つかりませんでした。

『‥ あ‥あなた‥ ‥

私‥ 私 ‥ ‥うっ‥ぅ‥ぅ‥ぅ‥ぅ‥っ‥ 』

この重苦しい雰囲気に耐え切れぬように口火を

切ったのは妻悠莉子でした。

言葉にならない言葉を漏らし、体を奮わせながら鳴咽を漏らす妻悠莉子‥。


私はその姿を見て、

哀れみでも怒りでも無い不思議な気持ちが込み上げていました。

そう‥それは安堵に近い感情だったのです。

遅かれ早かれ白黒を付けなくてはならかったのです。

確かに妻悠莉子の行為はいかなる理由があろうとも全てが

納得など出来る物ではありません。

しかし‥今ここで‥この病室で、

悠莉子を罵倒し罵った所で何になると言うのでしょう。

何よりも責めなくてならない相手は、

あの非道極まりない澤田統括部長とその一派なのです。

勿論、妻である悠莉子にもペナルティーは有ってしかるべきです。

でも私には、今この場所で‥この場面で、

妻悠莉子を弾劾する気持ちにはなれなかったのです。

『見つかってしまったんだな?‥』

私の問い掛けに鳴咽も漏らしながらコクリと頷く妻悠莉子の姿‥。

『うっ‥う‥えぐっ‥っ‥えぐっ‥っ‥ 』

ポタポタと零れ落ちる涙を拭おうともせずに、

声にならない声を漏らし続ける悠莉子。

『分かった‥ 分かったから‥

この場所で今は何を聞いても何を出来る訳でもない‥

塔子に連絡したんだろ?』

泣きじゃくりながら頷く妻悠莉子。

『じゃあ‥ 塔子から色々聞いたんだろ?‥ 』

『ヒック‥ッ‥ヒック‥ゥ‥き‥聞いたわ‥ ‥

あ‥あなた‥ご‥ごめんなさい‥ごめんなさい‥』

『‥ ‥ 聞きたい事や‥確かめたい事は山ほどある‥

退院したら、じっくり聞かせて貰う‥悠莉子‥逃げるなよ!』

私は小声ではありましたが語気の強い言葉をぶつけました。

悠莉子は私の言葉に、ビクッ‥と体を竦めるようにして、

コクンと頷きました。

その時、不意に聞き覚えのある声がして、カーテンか開かれました。

『お兄ちゃん‥ ‥ 』

そこに居たのは塔子でした。

その時、不意に聞き覚えのある声がして、カーテンか開かれました。

『お兄ちゃん‥ ‥ 』

そこに居たのは塔子でした。

目で何やら合図する塔子の姿を見て、私は瞬時に理解しました。

私の寝室へ入院の為に必要な着替えを取りに戻った妻悠莉子が、

ノートパソコンのDVDに気付き、

尋常で無いパニックの中で塔子に連絡をつけたのでしょう。

昨日の今日の出来事で流石に塔子も慌てはしたのでしょうが、

私の意を汲んでいた塔子が、

これまでの事を筋道立てて話しをしてくれたのであろうと。

そして気まずさから一人では私に顔向けが出来なくて、

私の待つ病室に戻るに戻れない妻悠莉子に

付き添うようにして連れて来てくれたのでしょう。

私は塔子に

『気を使わせて悪かったな‥ 』と言い

塔子は無言で首を横に振りました。

今だ延々と鳴咽したままの妻悠莉子を見て塔子が

『悠莉子、涙で顔がぐちゃぐちゃだよ‥

そんな顔で病室に居たら何事かと思われて、

お兄ちゃんが他の患者さん達に変に思われちゃう‥

お化粧直さなきゃ‥ ねっ?‥ 』

悠莉子の肩を抱くようにして促し、病室から連れ出す塔子。

一人カーテンに仕切られた病室のベッドに残された私は、

事故の影響の偏頭痛と言いようの無い寂しさを感じながら

《終わったのかも知れない‥

もう悠莉子の温もりを感じる事は出来ないのかも知れない‥ 》

そんな気持ちに苛まれていたのです。

どのぐらい時が過ぎたでしょうか?

塔子だけが病室に戻って来ました。




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