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女に目覚めて行く妻、その52、悔しさで知らないうちに涙がこぼれていました。









女に目覚めて行く妻、その52、悔しさで知らないうちに涙がこぼれていました

妻がケンジと私とも距離を置くと言ってから1週間ほどが経ちましたが、

妻からは何も言ってくることも無く、

娘達が一度妻と一緒に夕食をとったときに娘達から妻は

元気にしていると聞いたくらいでした。

妻が娘達の母親とし、もう一度やり直そうとしてくれたことを

私は感謝しましたし、

妻をなんとか家に戻って来れるように願う毎日で、

一度妻と話をしなければと思っていました。

ある金曜日の夕方でした。仕事で得意先から直帰することになったとき、

妻の住む近くを通って帰るので一度妻と話をしようと思い、

妻の携帯に電話を入れました。

何度か呼び出し音を鳴らして待ちましたが、

留守番電話になってしまいました。

私の頭中に一瞬、まさか・・・ケンジと。

いや、私にあの日言った妻の言葉は間違いないであろうと

思う気持ちもありましたが、

やはり疑う気持ちもありました。

そう思った瞬間、いてもたってもいれずに、

私は妻の住むアパートへと向かいました。

妻のアパートのドアの前までくると私の心臓は激しく鼓動し、

インターホンを押すのを辞めようか迷いましたが、

緊張しながらもインターホンのボタンを押しました。

ピンポーン・・・呼び鈴が鳴りますが妻が出て来る気配はありません。

もう一度インターホンを押してみました。

やはり妻は出て来ませんでした。

震える手で玄関のドアノブを廻してみましたが、鍵がかかっていました。

そっと耳を澄ましても中から物音は聞こえてきませんでした。 

張り詰め緊張していた気持ちが一気に収まっていくのが解りました。

耳を澄ましたときに、中から妻の悩ましい声でも

聞こえてくればどうしようかと・・

・一人そう思っていた私でした。

まだ仕事から戻ってきていないのかと思い、

妻の玄関のドアに背を向けて帰ろうと振り返ったときに

通路の向こう側から両手に荷物を持った妻が歩いて来ました。

私がいることに気が付いた妻は、照れたような表情で

「どうしたの?」とこちらへ歩きながら私にそう言いました。

「いや・・・仕事の帰りに近くを通ったから話したくって、

電話したんだけど出なかったから・・・」

「そうなんだ。今日、朝急いで出たから携帯忘れたんだよね。

上がっていくでしょ?」

「いいのか?」

「いいよ。私も話をしたかったから」

妻は両手の荷物を置き、バックの中から部屋の鍵を探して玄関を開けて、

私を部屋へといれてくれました。

以前と違って少し落ち着いた気持ちで妻の住む部屋を見回してみると、

綺麗に整頓され最小限度のモノしか置かれていない落ち着いた部屋でした。

ベランダに出る窓のカーテンレールに

吊るされて干されている妻の薄いブルーのブラと

パンティへ私の目が行った瞬間、

「ごめんね・・・こんなところに」

と慌てて下着を取り、片付ける妻でした。

その下着は私が見たこともないモノで、

きっと家を出てから購入したものでしょう。

「そんなに慌てて隠さなくっても」

と私が妻に言うと「だって恥ずかしいじゃない」

と言って買い物してきた食材を冷蔵庫に入れ始めました。

「夕飯まだなんでしょ?」

「あぁ まだだけど」

「食べて行けば?」

「あいつらに連絡しないと、怒られるからな」

「へぇ~怒るんだ。いつも連絡するの?帰りに食べたりするときには」

「あぁ するよ。メールでだけど」

「変わったね(笑)」

「変わったさ。掃除機もかけるんだぞ。それと洗濯もするし」

「私の大変差が少しはわかるでしょ」

そう言いながらテーブルの前に座る私にお茶を出してくれました。

「なんだか久しぶりだな・・・まゆみとこうして話すの」

「そうだね・・・」

「そろそろ戻って来ないか?」

私は唐突に妻にそう言ってみましたが

妻は何も答えませんでした。

それから妻が食事を作ってくれる間、しばらく沈黙がおとずれ、

気まずい雰囲気になりました。

「あ!連絡するの忘れていた!」

私が突然大きな声でそう言うと黙っていた妻も

「怒られるよ。香奈にメールするの?」

「いいや。二人共(笑)」

私は娘二人に仕事関係の人と食事することになって遅くなるから

戸締りをしっかりとしておくようにと、嘘のメールを娘二人に送りました。

妻のところで食事すると送ろうかとも思いましたが、

反対に心配かけるかもと思いそうしました。

有り合わせで出際良く作ってくれた、

久しぶりの妻の手料理は私の空腹感だけではなく、

胸をも一杯にしてくれました。

今まで当たり前のように食べていた、

妻まゆみが作った手料理がこれほど有り難く、

そして美味しく思えたことはありませんでした。

「ご馳走様・・・美味しかったよ」
「何も用意してなかったから、たいした物できなかったけどね」

妻は私の食べ終わった食器を持って流し台へと行き洗い物を始めました。

「荒いものも、洗濯も一人だと簡単に終わるから、楽でいいよ」

「そうだろな・・・今日は俺の分まで増えたけどな」

勿論そんなときでも私は、

今食事をした食器も全てケンジの為に

買ったものを使ったのだろうと思っていました。

食器棚もなく、簡単なカラーボックスみたいなモノに

テーブルクロスの様なモノを垂らしているだけのものでしたが、

そこには2組の食器があるのが見えていたからです。

洗い物を終えた妻はコーヒーを入れてくれ、私の前に座りました。

「話って?」と妻が私にそう尋ねて来ました。

「うん。あれからどうしてるかと思って・・・」

「ケンジとのことでしょ?」

「いや・・・それだけでもないよ」

「パパには悪いけど・・・あれから1回だけ遭った」

「そっか・・・」

「約束破ったようだけど・・・しっかり話はしたよ」

「まぁ俺も今日こうしてまゆみと逢ってるからな」

「そうだね・・・私も話しをしておきたかったから」

「まゆみは俺に何の話し?」

「ケンジと遭ったこととそのとき話したこと」

「どんな話をしたんだ?」

妻は私がそう聞くと「ビールでも買ってこようか?」

と私に笑みを浮かべてそう言いました。

「俺が買ってくるよ」

「いいよ。私が買ってくるから」

「じゃぁ一緒に行こう」

「いいって、いいって、すぐそこだから私が行ってくるから待ってて」

「いいのか?」
「うん」

妻はそう言ってバックを持ちコンビニへと

ビールを買いに行ってくれました。


妻がいなくなって一人で妻が暮らす部屋にいると、

このベットでケンジと・・・そんな思いがこみ上げてきました。

今までなら嫉妬と興奮がこみ上げて来る私でしたが、

そのときはそんなモノはありませんでした。

ただただ悔しさと寂しさだけがこみ上げて、

どうしようもなかったことを覚えています。

そんなやるせない気持ちで妻を待っていると

「このビールでよかったよね?」そういいながら妻が戻ってきました。

「何でもいいよ」

私がそう言うと袋からビールを出して何本かは冷蔵庫に入れて

2本だけ持って来て私の前へと座り私に1本渡してくれました。

「一人だとビールも呑まないから、久しぶりに呑むと美味しいね」

「呑んでないんだ?」

「ここでは呑まないよ」

「俺は毎晩呑んでるけどな」

「あの娘達は大丈夫?」

「なんとか元気にしてるよ」

「そう。よかった」

「ケンジとはどんな話をしたんだ?」

「うん・・・ケンジは納得してくれないから・・・困ってるの、

けど自分の気持ちを全部話して、なんとか解ってくれたと思う」

「そっか・・・ケンジよりまゆみはどうなんだよ?

本当にそれでいいのか?」

「わかんないよ・・・けどあの娘達は悲しませたくないから・・・」

「遭いたいんだろ?」

私がそう言った瞬間、妻の穏やかな表情が厳しい表情に変わって私に

向かって言いました。

「どうしてそんなこと言うのよ」

「どうしてって・・・」

「私がケンジと御終いにするって決めたのに」

「わかってるよ・・・けど・・・」

「けど何よ?」

「ケンジを愛してるだろ?俺より」

「だからそれを御終いにしたいの・・・私は」

「うん・・・解ってるさ。それより戻って来いよ」

「・・・・・・」

「ケンジの方が俺より大事でも、俺はいいから」

「・・・・・・」

「一からやり直せばいいじゃないか・・・二人でもう一度」

「・・・・それが辛いの・・・」

「辛い?」

「うん・・・パパがそう言ってくれるのが一番辛いの・・・」

「俺のことなんてどうでもいいよ。まゆみがその気があれば戻って来いよ」

「・・・・ケンジだけじゃないんだよ・・・パパを裏切ったの・・・」

「わかってるさ・・・」

「いくらどうかしてたって解っていても・・・

家を飛び出してその日に遭った人とだよ?」

「・・・・・うん」

「パパはいつもそうなんだよ・・・

自分は我慢するっていいながら突然怒り出したりするから」

「・・・・・」

「私がパパを裏切ったこと、パパは一生忘れないんだよ?

今日だってそうでしょ・・・

電話に出ないからひょっとしてって思ったでしょ?」

「・・・・あぁ・・・思ったよ」

「でしょ?・・・ずっと私を信用できなくって

何かあれば私のことを怪しむんだよ」

「そんなのわかんないじゃないか」

「ううん。パパは絶対にそう思うって・・・

自分でその気持ちを抑えこんでくれると思うけど・・・」

「けど、また信頼関係を築けばいいじゃないか」

「それができればいいけど・・・ケンジだけなら・・・」

「そんなこと気にするなよ・・・俺は大丈夫だって」

「じゃぁ・・・今から話すこと聞いてもそう言える?」

「何を聞くんだよ?」

「パパだから・・・知っていて欲しいから」

「だから何なんだよ」
「あの日ね・・・寂しくって辛くってどうしようもなかったの・・・

だからどうでもいいような投げやりな気持ちでいたから・・・」

「あぁ・・・わかってるよ」

「話しかけてきた人と一緒にホテルに行って・・・」

「うん」

「だめだって・・・思って・・・最初は嫌だって言ったけど・・・」

「流されてしまったんだろ?誘惑に」

「うん・・・嫌なこと忘れさせてやるって言われて・・・

そして・・・凄く激しかった・・・」

「・・・・・」

「いつの間にか・・・夢中で抱かれている私だった・・・」

「そっか・・・・」

「遊びなれてる人だったから・・・

自分でも信じられない程になって・・・」

「うん・・・」

「何度も求めたの・・・私からよ・・・恥ずかしいことだけど」

「・・・・・」

「気が付くと彼が電話番号とメルアド書いた紙を

寝ている私に渡してくれて・・・

また電話しておいでって・・・いつでも嫌なことがあればって」

「・・・まさか・・・ひょっとしてまゆみ・・・」

「うん・・・電話した」

頭を鈍器で殴られたような衝撃が私を襲いました。

「また違う日に抱かれたんだ・・・」

「・・・・・・うん」

怒りと悲しみが押し寄せて来ました。

「自分から抱かれに行ったんだ・・・」

「・・・・うん」

「ケンジはそのことを知っているのか?」

「ううん・・・話してない・・・」

「どうして隠してたんだよ・・・・どうして今そんなこと言うんだよ・・・」

「・・・だから・・・こんな私でも戻って来いって言ってくれる?」

不思議なくらい今までなら興奮し、

嫉妬して頭が真っ白になってその場で妻を

押し倒して抱いた私でしたが、興奮なんて全く無く、

悔しさと怒りだけがこみ上げて大声で叫びたいほどでした。

「初めて遭った日以外に何度遭ったんだ?そいつとは?」

その言葉を発するのが精一杯の私でした。

少し戸惑いながら下を向いていた妻が顔を上げて私を見つめて

「1回だけ・・・」

「そっか。それからは遭ってないんだな?」

「うん・・・」

「好きとかじゃないんだろ?」

「うん・・・・」

「うん」と答える妻の方が私には辛かったのが率直な思いでした。

「好きでもないのに・・・どうして?」

「・・・・・・・」

「どうしてだよ!! まゆみ!! どうしてお前は・・・」

「パパ・・・・ごめんなさい・・・」


「どうしてなんだよ・・・・どうして・・・・」

私は悔しさで知らないうちに涙がこぼれていました。

座っている自分の太ももを必死に両手で掴みながら、

身体中が震えてくるのが解りました。

そんな私を妻が横に来て私の頭を抱きしめました。

「ごめんなさい・・・」何度もそう言いながら。

「触るなよ!!」とっさに私の口からその言葉が出て、

妻を跳ね除けていました。

妻はその場に倒れこみ泣き崩れました。












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