開花する妻、その16、俺が蒔いた種なんだから
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開花する妻、その16, 俺が蒔いた種なんだから
その 俺が蒔いた種なんだから
しばらくして妻の方から私に「そっかだけ?」と私に聞いてきました。
「そっか以外に言えないさ・・・俺が巻いた種なんだから」
私がそう言うと妻は何も答えませんでした。
しばらく何もしゃべらずに歩いていると妻の方から話しかけてきました。
「パパ?ホテルに行かない?」
突然の思いもよらない妻からの言葉で私は一瞬立ち止まってしまいました。
「え?ホテルに行くのか?」
「・・・うん ダメかな?」
「い・・・い・・いや・・いいけど」
私は焦って言葉がすんなりとは出ませんでした。
「パパ?ラブホテルじゃなくって普通のホテルに今夜泊まろうよ」
「え????どうして??」
私がそう言うと妻は携帯をバックから出して娘に電話をしました。
娘との会話はまるで友達同士のようにキャーキャーとはしゃぐようでした。
電話を切った妻は「パパとラブラブで頑張ってね~だって」
と私に苦笑いをしてそう言いました。
妻がタクシーを止め「○○ホテルまで行ってください」
と運転手に告げました。
そのホテルは夜景が展望できると有名なホテルでした。
私はタクシーの中で流れる夜のネオンを見ながらどうして
妻はあのホテルへと・・・そう考えました。
理由はきっと彼とそのホテルに泊まったってことは間違いありません。
しかしどうして妻がそこへ行きたいのか?・・・・
私は目を閉じて妻との沈黙の時間を過ごすのでした。
ホテルに着き私がフロントに行って
「今日泊まりたいのですが?」
聞いていると妻が横から
「あの~バスルームから夜景が見えるお部屋ってありますよね?
空いていますか?」とフロントに尋ねました。
空いているとのことで部屋へ案内され、
中に入り私は妻に「どうしてこのホテルに来たんだ?」
と尋ねると妻は「わかんないけど、パパと来てみたかった」と言って
「あ!そうそう!!パパ?ここのお風呂凄いんだよ!!」
と私の手を引いてまるではしゃいだ子供用に
バスルームへと私を連れて行くのです。
バスルームは全面ガラス張りを感じさせるほどに
街の夜景が一望できるほどでした。
ここで妻は彼と・・・そんな思いが私の頭の中を過ぎります。
妻は夜景を見ながら「綺麗だねぇ~」と私にそう言いましたが、
私はそんな妻に笑顔すら作ることは出来ませんでした
バスルームから逃げるように部屋へ戻ると、
ベットルームからも夜景が一望できそこには
二つのベットが並んでいました。
私の目に飛び込んで来たモノはとても私には耐えることの出来ない
生々しさの感じられるモノでした。
立ちすくむ私に妻が「パパ?このお部屋かどうかはわからないけど、
この間ここへ○○君と泊まったの」妻は私の目を見てそう言いました。
私はそうだとは解っていましたが、
マジマジとその部屋で妻の口からそう言われると、愕然としました。
今、目の前にいる妻は私以外の男とこの同じ夜景を
見ながらどんな会話をしたのか・・・
そしてこのベットで・・・そして・・・あのバスルームで・・・
色んな情景が私の身体の心底を引きちぎろうと攻め立てます。
私はその場に崩れ去り、唇をかみ締めただ拳を握り締めながら、
目からこぼれ落ちる涙を抑えるのに精一杯でした。
妻は私よりもあの男を選んだ。
負けた・・・悔しい・・・悲しい・・・
そして私さへ妻を焚き付けなければ、そんな後悔・・・
何を思ってみても、
ここで起こってしまった現実を無くすことはできない・・・
そして妻の心の中からも消えることはない・・・
そして私の心の中からも・・・私は自分を責め続けました。
そんなときでした「パパ・・・ごめんね」愕然と崩れ落ち、
床に膝を着く私の背中から妻がそう言って私を抱きしめてくれました。
その瞬間、私が我慢していた感情が崩れさり、
大粒の涙が何度も何度も頬を伝いました。
妻に抱きしめられながら泣き崩れる私に妻は優しく私の頬を伝う涙に
何度もキスをしてくれました。
二人共言葉もなく、ただ時間だけが過ぎて行く中私の心の中で本当に
妻の存在が大きいモノだと痛感していました。
そんな私に妻が「パパ?」と私を覗き込み囁くように呼びました。
けれど私は妻の顔を見ることは出来ずに、ただ肩を落とし俯くたけでした。
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