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夫婦慕情、その14、お見合い





夫婦慕情、その14、お見合い

私の勤める会社も多忙をきわめ、亜希子さんのお店も、

会社員や近くの工場で働く若者で賑わっていました。

私達は密会を重ね、お互いを求め合いました。

亜希子さんの口から…

(私、今までこんなにSexした事なんてないわ…)と、

聞いたのもこの頃でした。

元々、里治さんはSexに対して淡白だったようですが、

亜希子さんはそんなモノだと思っていたそうです。

子供を作る気はなかったの?}

(そんなことないわ…でも、出来なかったの…)

この時代、子供を産めないのは、

一方的に女性のせいにされていました。

(あの人の両親も、

私が子供を産めないから気に入らないのかも知れないわ…)

{授かりモノだから…}

(龍ちゃんはまだ若いから…あの人は欲しがってたわ…)

{頑張ったんだ…}私は嫉妬していました。

(え?…頑張った?いやぁねえ…

龍ちゃんなに想像してんのよ…ふふふ)

{だって、子供を欲しくて何回もしたんでしょ?}

(ふふふ…だって、しなきゃあ出来ないじゃない…)

{何回もしたんじゃないか…}

(ばかねえ…結婚して十数年よ…

でも龍ちゃんみたいに、ほとんど毎日なんてないわよ)

{本当に?…里治さん毎日しなかったの?}

(ふふふ…しないわよ、毎日なんて…

龍ちゃんとだけ…こんなにしたの)

たわいのない睦言を交わしながら、

お互いの体をまさぐり合いました。

(龍ちゃんのここ…大きい方?…)

亜希子さんは私の性器をほうばりながら言ったことがありました。

{里治さんより大きい?}

(うん…大きい…)

亜希子さんは恥ずかしそうに言いました。

私と亜希子さんの関係は、当時"通い夫"だったのかも知れません。

夜中に店へ通い、四・五時間一緒に過ごす…

寮に帰り三・四時間寝て仕事をする…そんな生活でした。

新婚そのモノの生活でしたが、

私と亜希子さんの結婚には、結び付くはずもありません。

亜希子さんのご両親からは、田舎に帰って来い…

との電話が度々あり、

里治さんのご両親からは、

お骨を田舎に引き取る話しが続いていました。

私の存在が明らかになった時には

ご両家が大モメに揉めるのは火を見るより明らかでした。

こんな生活が丸三年くらい続いたのです。

亜希子さんは

(私が龍ちゃんのお嫁さんになる事は出来ないけど、

龍ちゃんはそれでもいいの?…)

亜希子さんは私の腕の中で何度も聞いてきました。

私は{その内、ご両親もわかってくれるよ…それまで、このままで…

里治さんと三人で暮らしていこう…}と

亜希子さんと自分に言いきかせていました。

しかし、亜希子さんのご両親と世間は、

亜希子さんを放って置きませんでした。

ご両親は田舎で再婚相手を見つけ、

執拗に会う事を求めたのです。

また、町会の方々からも再婚の話しが数件あり、

煮え切らない亜希子さんの返事にシビレを切らして、

相手を店にまで連れて来る人まで出てきました。

紹介者が日頃お世話になっていた人で、

亜希子さんは私に…(紹介者の顔をたてるだけだから…)

と同意を求めました。

私は日蔭者扱いをされたようでふて腐れました。

(一度会って、お断りすればいい話しなんだから…)と、

亜希子さん軽い気持ちでお見合いをしたのです。

実家のご両親を納得させる思いもあったようです。

しかし、そのお見合いが、私の思いもよらぬ方向に進んだのです。




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