妻を試します、その40、別れの言葉
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妻を試します、その40、別れの言葉
妻 「・・・もう・・・知られても・バレても・・・いいんです・」
沢村「・・・はあ?・バレてもいいって?・・・何で?・・・」
妻 「私は・・・今までこと・・全部主人に打ち明けようと思っています・・・
許しは乞いません・・・」
妻 「・・・許されるわけないですから・・・そして離婚します・・・
前からそう・・・決めてたから・・・」
妻は最初に沢村に犯された時,激しい自己嫌悪になり,
既に離婚は覚悟していた事・・・
そして,自らを堕とすことによって,
自らを納得させようとした意志の弱さと,
私の回復を待って離婚しよう・・・と以前から決めていた事・・・
夫である私の新しい出発の時・・・
汚れた自分が側にいてはいけないと想った事・・・
せめてその時だけは少しでもキレイな自分で夫(私)を
見送りたいと想った事・・・
そのために,沢村と分かれる決意をしたこと・・・
それら自分の想いを・・・全て沢村に伝えた・・・
沢村「ちょっとまってよ・・・じゃあ,
オレのことも旦那にバラすってこと?
冗談じゃないよ!」
妻 「沢村さん・・・あなたはさっき,このことは・・・
いつかは噂になって主人に
知れると言いましたよね?・・・
それも大袈裟な内容になって・・・」
妻 「その時,沢村さんの名前だけが出ないとでも
思ってるんですか?・・・
噂なら・・・きっと名前も出るでしょう?」
沢村「・・・・・・・マズいよ・・・・・・・・」
妻 「仕方ないでしょう・・・主人の性格からして,
私の離婚と同時に・・・
沢村さんの自宅や家族構成まで調べて,
訴訟を起すでしょう・・・」
妻 「そして自分が納得するまで,
関係者全員を呼び出し一切の妥協をせず,
問い詰めて結論を出すと思います・・・
主人が落ち込むのはその後のことです・・・」
妻 「・・・私達の・・・お友達や・・・
みんなに・・・いやな思いをさせてしまうことに
・・・なるかもしれませんね・・・」
沢村「・・・噂は拡まらないよ・・・
アイツ(後輩)にもくだらないことは,
もう言わさないから・・・」
妻 「そうあって欲しいですが,
あの方(沢村の後輩)がそこまで会社の方たちに言っているなら,
もう遅いかもしれません・・・」
沢村「・・・・・・・・・・・終わっちゃうじゃないか・・・
オレの全部が!・・・・・・奈緒ちゃん・・・頼むから,
旦那にそんな告白しないでくれよ!・・・」
妻 「いいえ・・・私は主人に打ち明けます・・・そうしないと,
主人も離婚には納得しません・・・それに私は・・・
私の全てを終わらせる覚悟は・・・もう出来ていますから・・・」
沢村「・・・・・・・・・・・・・・・・」
妻 「だから,沢村さん・・・
あなたが主人にヘンなこと言わないなら・・・
ヘンな噂を流さないなら・・・
あの人の新しい人生を邪魔しないなら・・・」
妻 「・・・私は主人に打ち明ける時,
あなたの事は言いません・・・私が勝手に・・・
知らない男の人と・・・浮気したって・・・言います・・・」
妻のその言葉を聞いて・・・・沢村は「え?」というような顔をした・・・
そして妻から目をそらし,小刻みに震える手でタバコを吸い始めた・・・
それは妻には,沢村の安堵の表情にも見て取れた・・・
沢村「・・・ホントだね・・・奈緒ちゃん・・・信じていいね?」
妻 「えぇ・・・約束します・・・」
沢村「じゃあ,無事に離婚できたら連絡してくれよ!・・・
その時はもう,お互い誰にも遠慮しないで楽しめるからさ!」
妻 「・・・・・・・・もぅ・・・会わないって・・・言ったじゃない・・・」
沢村「でも,離婚したら,もう旦那とは関係ないんだし・・・」
妻 「・・・私にも責任があるけど・・・こんな・・
・私が離婚するような気持ちになったのは・・・
沢村さん・・・あなたにも・・・」
妻 「最初は凄くいやだった!・・・
自分でもイヤなくらいイヤだった!・・・」
妻 「主人の顔も見れないし・・・申し訳ないと思いながら・・・
それでも自分のやってることが信じられなかった・・・」
妻 「・・・でも・・・私は・・あなたに出会えてよかったと
思ったこともあった・・・・」
妻 「寂しさ紛らわせてくれて・・・ありがとうって思ったことも・・・」
妻 「あなたに抱かれた時も・・・
イヤじゃなくなってきた事もありました・・・
あなたはいい人なんだと思った・・・」
妻 「きっと・・・心のどこかで・・・
あなたのことがキライじゃなかったのに・・・
きっと・・・きっと,どこかでスキだったのに・・・」
妻 「どうして今そんな事を言うの?・・・どうして?・・・
こんなに苦しいのに・・・どうして解ってくれないの?」
妻 「お願い・・・お願いですからぁ・・・あなたの事・・・
いい人のまま・・・少しはスキなまま・・・さよなら・・・
言わせてよぉ・・・」
妻は泣き出した・・・沢村の腕を掴みながら激しく泣き
出してしまった・・・
いろんな・・・いろんな・・・つらい思いを・・・
たくさん押し込めていた・・・
妻の小さな胸・・・それが今・・・張り裂けそうになっていた・・・
沢村もかなり驚いたはずである・・・そして初めて聞く,
妻の本音と言える言葉・・・
沢村の胸にはどう響いたのだろう・・・
そして,少しでも自分のことをスキだと言った妻に,
沢村も少しずつ妻のことをスキになっている自分に
気が付いたのだろう・・・
そんな自分を好いてくれている女が,
目の前で苦しくて泣いている・・・
沢村にも,罪の意識が蘇ったのかもしれない・・・
沢村「・・・ごめん・・・ごめんね・・・オレ・・・
凄く無神経なことを言ってしまった
・・・・・許してほしい・・・」
妻 「・・・ひ,ひっく・・・うあ~ん・・・
ばかぁ・・・ばかぁ・・・」
沢村「・・・そんなに苦しかったんだ・・・
それなのに・・・オレは・・・
そんな事も知らないでいい気になって・・・
オレはとんでもないことを・・・」
妻 「う,う,うぅ~・・・ひっく・・・わぁ~ん・・・
うぁ~ん・・・ばかぁ・・・」
さすがの沢村も,妻の本気の涙の前に・・・
その妻の心のうちを悟った・・・
沢村「もう泣かないで・・・オレ・・・
転勤願い出そうと思う・・・
奈緒のこと・・・本気でスキになる前に・・・この街・・・
離れた方がいいかもしれない」
妻 「・・・・・・・・・・」
沢村はハンカチで妻の涙を拭いた・・・
それは壊れやすく・・・今にも壊れそうな・・・小さな・・・
か弱いものを優しく拭うように・・・
そして妻の涙を拭き終えた沢村は・・・妻のその柔らかい唇に・・・
そっと・・・少しだけ唇を重ねた・・・
今まで妻にしてきたキスの中で・・・
最も優しいキスだったに違いないだろう・・・
沢村「・・・オレ・・・帰るよ・・・奈緒・・・奈緒さん・・・
ごめんね・・・でも・・・ありがとう・・・」
妻 「うぅん・・・沢村さん・・・こちらこそ・・・」
沢村「ヘンな言い方だけど・・・どうか幸せになってください・・・
できれば旦那さんと・・・このまま・・・」
妻 「ありがとうございます・・・沢村さんも・・・お幸せに・・・・」
沢村「・・うん・・・忘れないよ・・・この街に奈緒がいたこと
・・・奈緒さん・・・公園の出口まで送るよ・・・」
妻 「・・・・・うぅん・・・私はここで,あなたの後姿・・・
見えなくなるまでここにいますから・・・」
沢村「・・・そっか・・・じゃ・・・」
沢村は後ろを向いて歩き出した・・・
妻は・・・涙に濡れた顔を,微笑みに変えて・・・
沢村を見送りました・・・そして・・・
妻 「・・・・・・沢村さん・・・・・さようなら・・・・・」
ある寒い日の・・・午後・・・の事でした・・・・・
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