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先生と妻、その28、妻は毎日、明るく私を送り出してくれる

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先生と妻、その28、妻は毎日、明るく私を送り出してくれる

男が家庭訪問にやって来なくなって、半月あまりが過ぎた。

私は再就職をし、新しい職場にも徐々に慣れてきたところだ。

私は宅配会社に就職した。重い荷物を車に積み降ろしし、

一軒一軒の顧客の元へと配達する。

一つ一つ、一軒一軒配達しないと仕事は終わらない。

道に迷うこともある。雨が降ることもある。

私はこの仕事が気に入ってしまった。

まるで生き方を指南しているような仕事だ。

一つ一つ、解決していく・・・。

私と妻は、互いに見ているだけで幸せを

感じるほどの生活を始めだしている。

新しい仕事についても、妻は応援してくれている。

前のように安定した収入ではない。

それでも妻は毎日、明るく私を送り出してくれるのだ。

妻は、私が男と死闘をして、

男を入院させたことを感づいているかもしれない。

何しろあの死闘の夜、私はボロボロの服装で帰宅したのだから。

妻は何も言わなかったが、何も思わないわけがない。

それはつまり、私に、妻と男の関係を知られていると、

気づいているということだ。

一つ一つ、解決していくのだ。

たまたま進む道にあった穴にはまって、

そこから這い出してまた進むことを諦めてどうする。

落とし穴なんていくらでも出てくるかもしれない。

私は妻と二人で、一つ一つ這い上がっていくのだ。

妻の父親のように、進むこともせず、

何もかも投げ出してはいけない。

あの男、峰垣のように、たった一つの落とし穴に執着して、

出て行った夫人を許すことも頭を下げることもしないで、

身を滅ぼしてはいけない。

そうだ、私は妻と歩んでいくのだ。

しかしあの男は、どうして私の名前を出さなかったのか?

そんな事を思ったのは、配達中に、堀田から聞いた、

あの男が入院している病院の近くを通りかかったからです。

そして私は、病院内に車を入れていた。駐車場に車を止め、

病院の大きな建物を見た。

私はため息をつきながら、病院の入り口に向かいました。

一体何をしようというのだ。

男に、なぜ私と堀田の名前を出さなかったか聞くというのか。

馬鹿なことだ。あの男のプライドでもあろう。

襲われて落とされたなど、あの男の自尊心が許さないのだ。

やめよう。そう思って、入り口の手前できびすを返し、

車に向かおうとした時です。

私は視線を感じて、横を向きました。

車イスに乗った、パジャマ姿の、白髪が目立つ初老の男性が、

目を見開いて私を見ていました。あの男だ。峰垣だ。

「ひいぃっ!」

男は、怯えきった目で私を見ていました。

そして、震えるような声を出して、車イスの向きを変え、

逃げるように必死に車輪をこいで行くのです。

私を何度も振り返るその目は、恐怖の目でした。

男が建物の角に姿を消した時、

私はあまりの虚しさに目がくらみました。

私がとどめを刺しにきたとでも思ったのか。

馬鹿な。ならばなぜ、私の名前を出さなかった。

私を社会的に葬る事が出来た筈ではないか。何故だ・・・。

もういい。仕事に戻ろう。

私は駐車場に戻り、車に乗り込みました。

ほんの数秒、タイミングが狂えば、

私は違った人生を歩んでいっていたかもしれません。

荷物を取ろうとでもして、後ろを振り返って、

前を歩く妻を見逃していたりしたら・・・。

エンジンをかける指先が震えて止まりました。

妻が、駐車場を横切って、病院に入っていった。

何しに、来たのだ?何しに?指先の震えが、全身に広がりました。

私は車を降りて、走った。








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