妻物語、その13、まあ、、、いいわ、
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妻物語、その13、まあ、、、いいわ、
着替えてロビーに戻るが、妻の姿はまだない。
僕がロビー内を時間つぶしをしながらウロウロしていると、
ゴルフ仲間のAとBの二人がエントランスから入って来るのが見えた。
僕が手を上げて合図すると、二人も手を上げて応えた。
二人が受付を終えるまで待ってから、会話を交わす。
「おはよう、久しぶり、、、早いな、もう着替えたのか？」
「ああ、早く着いちゃったんで、、、」
「今日は天気が良くてよかったな、、、暖かそうだ」
「ほんとに、、そうだな、、、」
と３人で少しの間、軽い立ち話をしていた。
「あれ？ところで、お前の知り合いは？」とAが僕に聞く。
「ああ、一緒に来たんだが、まだ着替えているみたいだな、、、」
と僕が答えた。
妻は、いつもより着替えに少し時間がかかっているようだった。
なんとなくその理由を分かっていたが、、、
ゴルフ仲間達の背後に見える女子更衣室の出入り口から
妻がヒョッコリ出てきたのが遠目に見えた。
そのまま立ち止まって、キョロキョロと僕をさがしている。
(おお、、いい女がいる、、、)
と一瞬、自分の妻であることを忘れてしまいそうだった。
(流石に目立つ、、、な、、、)
女子ゴルフブームと言われているが、ここのロビーには、
まだまだ男性が多い。そんな中に妻のような、いい女、が
立っているだけで好奇の視線が集まる。
昨夜見たウェアに身を包み、頭に白いサンバイザー。
後ろ髪をオレンジ色のシュシュで纏めて、今風の両サイドの髪を
少し残したポニーテールに仕上げている。
１６５センチのスレンダー。
清楚感溢れるホワイト＆ネイビーストライプのワンピースミニスカート＆
ニーハイソックス。
小ぶりだが丸みのある形の良い胸の膨らみのラインが
フィットしたポロシャツで強調されて、、、、
華奢なウエストラインへとつながっていく、、、、
そこから女性の特有のダイナミックな曲線を描きながら盛り上がるお尻の
ラインが男の理性を粉々に破壊する。
さらに、プリーツミニスカートの裾から美しく伸びる脚に
装着された禁断のニーハイソックス、、、、
このファイナルウェポンは、男にあらゆる妄想を掻き立てる。
昨夜、家で見た時よりさらに、３倍は綺麗に見える、と言っても言い過ぎではないと思った。
僕が妻に向かって手を上げる。
AとBが同時に後ろを振り向く。
妻が僕を見つけてゆっくりこちらに向かって歩きだす。
スカートの裾を軽く揺らし周りの男達のまとわりつくような
視線を浴びながら、僕とゴルフ仲間のほうに近づいてくる。
そのまま僕の横まで歩いてきて、そして、立ち止まった。
その間、ずーっと目線で妻の姿を追っていた二人のゴルフ仲間の
頭の動きがシンクロしていたので、思わず吹き出しそうになった。
この時の二人の心境は、後で聞かせてもらおう、と思った。
僕と二人の男達を交互に見ながら「お知り合い？」
と妻が僕に聞く。
「うん、、、実は、今日、一緒に回ることになったAと、、B、、」
えっ？ という妻の表情。
妻の口が、何か言おうと開いたが、ビックリして言葉を
失っているみたいだ。
同じく、、いや、こちらは、えーーーーーーーっ？
という感じの驚きの表情満載のAとB。
二人とも口をポカーンと開けたままモアイ像のように固まっている。
「で、、彼女が、僕の、知り合いの、Y◯◯さん」
妻の旧姓の[Y]と[知り合い]という部分をゆっくり強調して言った。
妻によく聞こえるように意識して。
「まだ初心者だけど、、今日は大目に見てあげてくれ、、、いいよな？」
(ちょっと？、、これは、一体どういうこと？)と言いたげな妻からの
視線が僕の横顔に突き刺さるのを目の端で感じて、少し肝を冷やす僕。
目の前のゴルフ仲間の二人も、まだ唖然とした表情で、
僕と妻を交互に見ている。
本日のゲストがまさかこんな美人だと、たった今、
知ったのだから無理もない。
僕は、笑をこらえるのが大変だった。
Aが口を開いた。
「あっ、、と、、き、今日は、よろしくお願いします、、、Aと言います」
と軽く頭を下げる。
Bも続いて「あっ、、Bです、、、ぼ、僕も下手ですから、、、
大丈夫ですよ、、、楽しくやりましょう」
と最後はなんとか笑顔で言葉を締めた。
Aも固い笑顔ですぐに続く「そ、そうです、、、
楽しくやりましょう、、Yさん、、」
「あっ、、、こ、、こちらこそよろしくお願いします、、、
ほんとにまだ初心者ですから、、皆さんにご迷惑おかけするかも、、、」
と妻も二人の挨拶に戸惑いながらも、しっかり対応した。
Bが返す「大丈夫ですよ、、、練習のつもりでいいんですよ、、、
誰でも最初はそうですから、、」
Aがツッコミを入れる「そう言う、こいつも大したことないので
安心して下さい」
このAの一言で一同笑顔になって、一応この場は、事なきを得た。
「そろそろ着替えないとまずいぞ、、」
と僕が時計を見ながらAとBを更衣室に促す。
じゃあ、後で、ということで二人は、更衣室に消えていった。
まずは、、サプライズ大成功、、、
しかし喜んでばかりもいられなかった。
僕の横に立っている妻がひょっとしたらこのまま怒って、もう帰る！、
と言い出しかねない状況でもあった。
ひょっとしたら、平手打ちの一発でも飛んでくるかもしれない。
そうなってしまっては、もうサプライズどころではない、、、
ホラーだ。
妻を説得する作戦は、、、、実は、何も考えていなかった。
つまり、、ノープラン。
(さて、、、と、、、)
少し、、いや、、かなりビクビクしながら、妻の横顔を見る。
妻は、男子更衣室の方に無表情の顔を向けたままピクリとも動かない。
(うわー、、、怖えぇ、、)
そのまま妻が一言「ふーん、、、そういうことね、、、」と低い声で言った。
まるで僕の悪巧みを全て理解したような一言だった。
(これは、、やばい、、、かも、、、)
僕は「あっ、、えっ、と、、言ってなくてごめん、、、
実は、昨日、急にあいつらからも誘いがあって、、それで、、
じゃあ一緒に、ということになって、、、、ごめん、そして、お願い」
と、僕は、両手で妻を拝み倒しながら適当な言い
訳を並べ始めた。
妻は、目を閉じて、ふーーーっ、と深く長い一息つく。
そしてそのまま片手を上げて僕を制しながら言った。
「まあ、、、わかったわ、、、いいわ、、、お二人とも優しそうな
方達みたいだし、、、まあ、、、せっかくだから、、、でも、、、」
声のトーンは低いままだった。
(でも？、、、なんだ？、、)とドキドキしながらその
言葉の続きを待つ。
その続きの言葉は出てこなかったが、代わりに「まあ、、、いいわ、、、」
とだけ妻が言った。
僕はとりあえず「、、、ありがとう、、、」
とだけしか言えなかった。
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