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同級生、その7、妻は大人でした。





同級生、その7、妻は大人でした。

私達夫婦の宿泊階でエレベーターを降りると、

エレベーターホールのベンチに大沢と、

同じく悪友の佐野と村橋が座っていました。

私と真澄が連れ出ってエレベーターから降りてくるのを

見留めるなり、立ち上がった大沢は

「そういう事かよッ!」

と渾身の右ストレートを私に食らわせてきました。

簡単に避けれるのに私は避けずにそれを顎で貰いました。

効きました。打たれ慣れているのに、

ジムの面々や対戦相手の方が何倍も鋭く重い打撃を

与えてくるのに、その大沢のストレートは私の身体全体に堪えました。

「お前は何やってんだよ!」

その大沢が私の両襟を掴み、怒り狂った顔で頭突きを食らわせてきました。

取っ組み合いの喧嘩なら高校在学中に何度もありましたが、

今回は私は一方的に受け身でした。

その受け身な態度が余計に大沢を怒らせてしまい

「何でやられっぱなしなんだよ!。殴り返してこいよ。。

やましい事があっからやり返してこねーんだろッ!」

と再び怒号を上げます。

そんな烈火の形相の大沢と、言い逃れもせず立ち尽くしている私の間に

真澄が割り込んできました。

「ヤメテ!大沢君ッ!、、、阿智君は何も悪くないの!。

全部私が悪いのッ、、、だからヤメテッ、、、」

またも号泣しながら必死に大沢を止めようとする真澄。

そんな真澄を見て大沢にまた油が注がれた様で

「おぅおぅ、浮気相手に庇ってもらってんのか!。大層な身分だなッ!」

ともう一度頭突きを食らわせようとした時、

真澄が絶叫を上げて床にへたり込みました。

「阿智君は悪くないのッ!。悪いのは私なのッ!。

私なのッ!。全部私が悪いのッ!」

尋常じゃない様子で床に顔をこすりつけ絶叫の嗚咽を漏らす真澄。

その常軌を逸した真澄の様子に大沢も幾分冷静になった様で、

私と共に真澄を助け起こしてくれました。

辺りに騒ぎを聞いた宿泊客達が集まってきました。

その声はエレベーターホールから程近い部屋の

ミユキにも当然聞こえていて、

ミユキが部屋から飛び出してきました。

そして他の宿泊客達に「お騒がせしてすみません!」と謝ってから、

泣き崩れている真澄を抱き起こしました。

そのミユキを見た瞬間、真澄は「ゴメンなさい!、ゴメンなさい!」

とまたも嗚咽を上げましたが、このままでは迷惑になるので、

私とミユキで両肩を抱え、真澄を部屋に連れ込みました。

「お前とは距離を置かせてもらうからな」

ドアが閉まる間際、私の背に大沢の厳しい言葉が浴びせられました。

入室するなり床にへたり込んだ真澄は、床に顔を付けて「ゴメンなさい!、

ゴメンなさい!」とひたすらに謝罪を繰り返していました。

その隣で私も同じ様に床に頭を付け、

ミユキに向けて一切合財の謝罪をしました。

離婚やむなしとも思っていましたし、

逆鱗や鉄槌は当然受ける所存でおりました。

厳しい声で罵倒や叱責があるものと覚悟していました。

しかし、ミユキの口から発せられたのはいつもの穏やかな声でした。

「2人とももういいから。それよりそんなとこに座ってないで、

ほら、ベッドのここに座って。それじゃ話しもできないから。

ほら、あなた、真澄さんを助け起こしてここに連れて来て」

拒むやり取りを繰り返しながらもミユキに促され、

真澄を伴った私はベッドの上に座りました。

その私の隣で頭を垂らし涙を流し続けているワンピース姿の真澄。

その真澄の両手を取ったミユキが優しく真澄に声を掛けました。

「真澄さん、あなた一体どうしちゃったの?。

あなた、そんな事する人じゃないでしょ?」

先程、真澄の部屋で私が掛けたのとほぼ同じ言葉でした。

更にミユキは優しい声で続けました。

「怒ってなんかないから話してみて。今日のあなたおかしいわよ。

何か思い詰めるものがあったんでしょ?。

誰にも言えない悩みがあったんでしょ?。

追い詰められて、自分ではどうすることもできなくて、

それで現実から逃避する為にこんな事したんじゃないの?。

だってあなたはこんな事する子じゃないもん。

そうでしょ?。何かあるんでしょ?。

誰にも話せなくて悩んでいたんでしょ?」

私はその言葉に母性の様なものを感じました。

僅か数時間でもこんなミユキを裏切ってしまった私の罪悪感は

計り知れずでした。

そのミユキの優しい言葉を受けて真澄の背中は大きく奮えはじめました。

俯いていますが、口を固くつぐんで嗚咽を必死に

堪えているのは分かります。

嗚咽を堪えながらも溢れる涙は止めようもなく、

次から次へと掛け布団の上に大量の涙染みを作りはじめていました。

ミユキはそんな真澄に歩み寄ると、

ひくつく真澄を正面から抱きしめたのです。

真澄にとってはそれが驚きでもあり、それが堪らなかったのでしょう。

真澄はミユキの胸の中で抑えきれない涙と声を漏らすのでした。

かなり長い間、2人の態勢はそのままでした。

ミユキは優しく真澄を抱き抱え、

背中を撫でさすりながら落ち着きを促します。

真澄はそのミユキの胸の中で乱れた呼吸と落ち着きを

取り戻していきました。

そして頃合いを見て、真澄の心に詰まるものを聞き出しはじめました。

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