妻はクリ派　私の知らない妻、その64、起動させたままのノートパソコン

私の知らない妻、その64、起動させたままのノートパソコン

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私の知らない妻、その64、起動させたままのノートパソコン

ＤＶＤを見終わった私は、怒りとも、悲しみとも、

諦めとも言えぬ複雑な心境でいました。

妻悠莉子を性欲を満たす道具のように

扱っているとしか思えない澤田統括部長。

あの思い込みの激しさ、時折見え隠れする病的なテンション‥。

妻悠莉子の乱れ狂う姿が見たいが為に竿師的な人間まで用意する異様さ。

映像の中で見えた妻悠莉子の作為的な数々の言葉と行為。

それは、澤田統括部長を叩き潰す為に塔子と行った打ち合わせを忠実に守った

結果なのでしょう。

しかし‥あのイボマラの竿師？と絡んでいた妻悠莉子は

素の悠莉子のだったのでしょうか？

それとも内在する精神的疾患が現れていた姿だったのでしょうか？

映像を見る限り、今回疾患が現れていたとしても、

どのタイミングでそれが表に現れたのかを私は分からなかったのです
。
澤田統括部長に対する、

言葉に表しがたい怒りと復讐心は当然として、

妻悠莉子に対しては‥助けてやりたい‥

妻悠莉子の抱える問題を取り除いてやりたい‥。

この気持ちに私自身、嘘はありません。

しかし、映像やボイスレコーダーの中身を知ってしまったから

こそ許せない事もある事は確かなのです。

ヘビースモーカーである私は煙草でも

吸って気持ちを落ち着けようとしました。

しかし、いつの間にか全ての本数を吸い尽くし

煙草が切らしてしまっていました。

時計を見ると時効は6時半になっていました。

私はまだ眠っている筈の妻を起こさぬように、

静かに家を出て煙草を買いに向かったのです。

近所の自販機には私の愛煙している煙草が売っていない為に、

私はマンションの地下駐車場から車を出して、

車で5分程の距離にあるコンビニに向かいました。

今思えばこの時の私は、三枚のＤＶＤの内容に相当な衝撃を受け、

全く消化出来ないでいたのだと思います。

心ここにあらずといった状態で運転をしていた私は、

不注意にもコンビニに向かう途中で一時停止を無視し、

向かって来た車と追突事故を起こしてしまったのです。

耳を張り裂くようなブレーキ音と頭を激しく殴られたような衝撃。

救急車の中で朧げに聞こえたサイレン‥。

私は救急病院に運ばれていました。

早朝、３枚目のＤＶＤを見終わった私は、

その過激な内容と妻悠莉子に内在する物に動揺し、

不安を抱いたまま、切らせてしまった煙草を買いに行く途中で

不注意にも自動車事故を起こしてしまったのです。

私は考え事をしながら車を運転していた為に、一時停止を怠り、

追突事故を起こしてしまったのです。

私は事故の衝撃で朦朧となりながら救急車にて病院に運ばれました。

病院で治療を受けていた時にはその強烈な痛みで意識が

はっきりとしていた私でしたが、治療後に病室に移された段階で、

投与された薬の影響なのか、ここ数日の一連の蓄積した疲労からなのか、

いつの間にか正体不明な状態になってしまっていました。

どのぐらいの時間が経ったのでしょう？

偏頭痛のする重たい頭の感覚と、

顔面、胸部に感じる鈍痛で私は目を覚ましました。

『あ‥あなた‥大丈夫なの‥しっかりして！』

寒々しい病室のベッドの枕元には妻悠莉子の姿がありました。

今にも泣きだしそうな妻悠莉子の表情。

『ごめんな‥やっちまった‥ 』

私の言葉に首を振りながら大粒の涙を零す妻悠莉子。

『びっくりしたわ‥朝早くにいきなり病院から電話だもの‥嘘っ？！

‥何かの間違いだと思って、あなたの寝室に行ったら、

あなたが居ないから本当なんだと思って‥』

私は痛みを堪えながら

『あぁ‥考え事しながら運転していたんだな‥

気付いた時にガッシャーンだった‥ あっ‥痛っぅ‥痛たぁ‥ 』

『む‥無理に話さなくていいわよ‥ でも‥不幸中の幸いだったわ‥

顔をぶつけて唇と口の中を切っていたのと、胸の打撲、

それと首がムチウチのようになっているそうよ‥

車はフロントがグチャグチャみたい‥

シートベルトとエアバックが無かったたらこんな物じゃ済まなかったって‥』

妻悠莉子は様々な思いが去来したのか再び大粒の涙を零しました。

『用心の為に詳しい検査をしなくてはならないから2.3日は入院みたいよ‥

大人しくしていてね‥

私は今からお家に戻って、あなたの着替えとか、

入院中に必要な物を取りに行って来るから‥

すぐに戻って来るわね‥ 』

私は偏頭痛のする、霞みの掛かったようないつもより反応の遅い頭で、

妻悠莉子の言葉を聞き、【ハッと】我に返りました。

【マズい‥マズい！‥起動させたままのノートパソコン‥ ＤＶＤ‥ 】

焦りを隠しきれない私でした。

私は偏頭痛のする重い霞みの掛かったような、

いつもより反応の遅い頭で妻悠莉子の言葉を聞き、

【ハッと】我に返りました。

【マズい‥マズい！‥起動させたままのノートパソコン‥ ＤＶＤ‥ 】

しかし私の着替えは私の寝室にあるのです。

《ノートパソコンには触らないでくれ‥》

この状況でそんな事を言えば、明らかに不自然だし、

ノートパソコンを見ろと言っているようなものなのです。

私は鈍るだけ鈍った頭でどうしたら良いかを考えましたが、

この状態では閃きすら感じる事は出来ず

『ベッドに置いたままのノートパソコンの電源を切っておいてくれな‥

職場からデーターを持ち出して家で残業していたんだ‥

何かあったらやだからね‥ 』

妻悠莉子は一瞬怪訝な表情をしましたが

『分かった‥ 』と頷いて病室を出て行きました。

ヤバイい‥本当にヤバい‥

ノートパソコンの中身を妻悠莉子に見られてしまったら‥ 。

きっと妻悠莉子こそパニックを起こしてしまう事でしょう。

私はこの後に起こり得る事態を想像し、

事故の痛みとは違う事で私は全身から脂汗が噴き出し、

心臓の鼓動が激しくなっていました。

この時、様子を見に来た看護士のお姉さんが、

私の容態が急変したと勘違いしてドクターを呼んだ程だったのです。

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