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火遊び、その1、主人がかまってくれないの

とある都市の郊外の閑静な住宅街…

この街に或る貞淑な人妻が住んでいる…黒川千絵子41歳…

ひとつ年上の夫とは、中学時代にバスケットを通じて出会う…

その翌年、夫の通う高校に入学し同じ体育館でお互いバスケット

に励んだ…やがて二人は彼氏彼女の仲になり幾年かの交際を経て

結婚…二人の子供に恵まれ、現在は一戸建てを所有し幸せな生活を送っている…

こんな何不自由の無い暮らしの千絵子だが心の中に不満が潜在していた…

「ねえ…あなた…」

「ごめん千絵子、疲れてるんだ」

夜のベッドにて手を掛けた夫が背を向ける…

こんな場面が最近増えているのだ…

四十路を迎えた二人…夫は衰える性欲と増える責任からによる仕事の

ストレスから、千絵子との夫婦の営みを拒み気味であった…

それに対し何か年が増す度に千絵子の性欲は、

どこか上昇気味になってくる…千絵子にとって男といえば夫しか知らない…

その夫との愛をより深めていきたい…

そんな心に長い年月をかけて覚えた゛女の悦び゛が後押しして、

四十路を迎え千絵子は夫に求めることが多くなってきていた…

だが、そんな千絵子に連れない態度をとる夫…

゛女盛り゛な千絵子の心の中に不満が潜在しても無理もない…

そんな千絵子が或る日の午後スーパーマーケットに

買い物に出かける…

白い肌を持ち、八頭身で出る所は出ているというスタイル…

顔も小顔で、四十路には見えないような可愛い顔立ち…

黒く綺麗なセミロングの髪…

そんなスーパーマーケットで買い物する千絵子の姿は

女性にしては長身であるせいでもあるが、

他の買い物をする主婦の中で際立っていいた…

内面は貞淑な妻であるが、バスケットで鍛えた身体に

自信があるのか千絵子が身に纏う物は胸が開いた服…

そして身体のラインが浮き出るような密着したパンツや

スカートが多い…この日も胸が開き気味の服に、

ピッタリとしたローライズのジーンズという格好の

千絵子…チラリと覗く胸の谷間や浮び上がる丸い尻のラインが、

゛美熟女のフェロモン゛を漂わせていた…

その商品を手に取り買い物する千絵子に、

一人の初老の男の何か厭らしい視線が向かう…

「こんにちは、奥さん」

の視線の主は、隣りに住む徳田のものであった。

「こんにちは…」

どこか浮かない様子の千絵子…

(何かこの人の私を見る目って厭らしいのよね…)

千絵子は日頃から徳田に対し嫌悪感を抱いていた…

ただ徳田の亡くなった妻には、この街に引っ越してきた頃から

千絵子は大変世話になっていた…徳田の亡き妻のお陰で、

知り合いの居なかったこの街に馴染めたようなものだ…

そんなこともある為、無視したいくらいの゛生理的に合わない゛

男でも無下にすることは出来なかった。

「いつ見ても奥さんは綺麗だよね、黒川さんが羨ましいよ、ははは」

話しながら徳田の視線は千絵子の胸元に注がれていた…

(もう…私がその厭しい視線に気付かないとでも思ってるのかしら…

本当気持ち悪い…)

そんな内心とは裏腹に、徳田に対し愛想笑いして千絵子は…

「そんな私なんか、徳田さん、まだ買う物があるんで…」

そそくさと徳田から離れていく…

(わあ…あの人まだ私の方見てる…まったく…

亡くなられた奥さん…よくあんな人と…)

立ち去る千絵子の後ろ姿に舐めるような視線を送る徳田…

千絵子はその視線を痛いくらい感じていた…

その夜、子供達も寝静まり帰宅した夫に千絵子は話かける。

「今日スーパーで、お隣りの徳田さんに会って何か最悪…」

「何があったんだ?」

千絵子の話に夫が耳を傾ける。

「あの人…私の胸とか腰とか厭らしい目で見るのよ、気持ち悪いわ」

「ははは、千絵子前もそんなこと言ってたじゃないか、

若い娘じゃあるまいし自意識過剰なんじゃないか」

千絵子の言葉に嘲笑うかのような夫…

夫にしても引っ越して来てから徳田には世話になっていた…

要するに夫は千絵子と違い、徳田に対して悪い印象は

持っていなかったからこんな感じの言葉が出る…

「まあ徳田さんも奥さん亡くなって溜まってんのかね、

千絵子をそんな風に見てるなんて…むしろ40過ぎてるお前には

光栄なことじゃないか、ははは」

千絵子の魅力を否定するかのような言葉を交え続ける夫に、

(私って…やっぱ…あのくらいの年齢の男の人しか

相手にしないような゛オバン゛ってこと…)

最近、夫との営みが減っていたこともあり、

この夫の言葉が千絵子に゛女としての魅力が無い゛

という負の思いを抱かせてしまった…

その夜から千絵子は何か憂鬱な気分になっていた…だが数日後、

その気分を晴らしてくれる出来事が起こった…

いつものスーパーマーケットで買い物を済ませた千絵子、

カートを押しながら駐車場へ向かっている。

(ちょっと買い過ぎたかしら…重いわ)

駐車場での段差を上手く乗り越えられず、カートを押すのに戸惑う千絵子。

「きゃっ」

カートがひっくり返り、買った品物がアスファルトに広がってしまう…

(大変…)

屈んで拾おうとする千絵子に…

「大丈夫ですか?手伝います」

一人の青年が品物を拾い始めた。

「すみません…」

屈みながら品物を拾う千絵子…必死なのか、時折開いた胸元が

その青年の方に向いたり…尻を突き出す形になっていた…

「これで大丈夫ですね、では失礼します…」

「ありがとう、助かったわ」

この時千絵子は初めて青年の顔を見た…どこか垢抜けないが、

巷にいう゛微妙にいい男゛的な顔立ち、そして体格は中肉中背

という感じの青年であった。

「待って」

買い物袋をさげ歩いて道路に向かう青年を、千絵子は呼び止める。

「もし歩いて来てるんだったら、送るわよ」

「えっ、そんな…いいのですか?」

「遠慮しないで、手伝ってくれたお礼よ、乗って乗って」

千絵子は青年に近寄り腕を掴み車の方へ導く…

この時、青年の顔には若干の困惑な様子が伺えた…

だが、決して青年は嫌だった訳ではない…千絵子と青年との

間に車に同乗することに対し温度差が存在していた…

つまり…千絵子にとっては息子くらい離れた年齢の゛男の子゛を、

お礼がてら車で送るという感情であったが…

それに対し青年の方は、千絵子の実年齢より若く見える外見や、

先程品物を拾っている時に目にしてしまった千絵子の胸元や

突出された尻から、何か千絵子に゛女性゛を意識する感情を抱いていた…

「どっちに行けばいいのかな?」

ハンドルを握る千絵子…二人の温度差にお構いなく車は動いていく…

「あの…○○駅の近くのアパートなんです…」

何か青年の口調がぎこちない…無理もない…どこか初な感じのこの青年に

とって、身体のラインが浮き出るような衣服を纏い

゛大人の女性゛的な魅力を漂わせる千絵子と二人きりで車に

乗っていることは刺激的なことであった…

「その辺のアパートに住んでいるってことは、

あなた△△大学の学生さんなの?」

そんな初な青年の感情に関係なく、千絵子は会話を続けている…

「はい、今二回生です、そこで一人で住んでます」

「そう、だから自炊するためにスーパーで

買い物してたんだ、偉いわね」

相変わらず青年を、どこか子供扱いする千絵子…

”最近あまり夫が構ってくれない”そんなことからか、

こんな夫よりずっと若い青年が自分を”女性”として変な

目で見ないだろうという意識の千絵子…だからか、

(うわー胸の谷間見えてる…)

そんな青年の胸元へのドキドキした視線も気にせず、運転をしている…

「あの…僕のアパートもう近いんでここで…」

車という密室の中で、何か”艶っぽい大人の魅力”

を醸し出す千絵子の雰囲気に耐えられないような感じで青年が切り出す。

「えーまだここからじゃ遠いでしょ、もう少し近くまで送るわよ」

「えっ…でも…」

「もう、遠慮しなくていいのよ」

自分の魅力が惑わしている青年の感情に、どこか鈍感な千絵子…

「そういえばお互い名前言ってなかったわね、

私、黒川千絵子っていうの、あなたは?」

「はい…俺…下村達雄っていいます…奥さん…」

もう何か千絵子の魅力に悩殺されているような青年…

「達雄君っていうんだ、出身はどこなの?」

「はい…××市です…奥さん…」

気軽に話す千絵子と、緊張気味に話す達雄の様子が

何か反比例しているようで滑稽だ…

「もう…その”奥さん”って言うのやめてよ、

何か変よ、千絵子さんって呼んで欲しいな」

「あ…すみません…その…千絵子さん指輪してるし…

その…何か馴れ馴れしい感じみたいだし…」

「達雄君って変なこと気にするのね、

でも何かそういうところカワイイね」

「えっ…」



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