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身代わり、その31、間違いなく私の妻でした。








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身代わり、その31、間違いなく私の妻でした。

「間違いない?」

「はい・・・あの時見た白いバン・・・

間違いなくあいつの車です・・・」

車内に緊張感が走ります。

いまやハッキリと分かる距離まで近づいた小僧の白いバンは、

すぅっと私たちの車の前方を横切り・・・

アパートにほど近い、私たちからみると斜め左奥の位置に車を停めました。

一瞬、私は気づかれるかも・・・と

も思いましたがすぐにその考えを改めました。

私たちは光が全く当たらない小僧からすれば死角のよう場所に

停めていましたし、

なにより小僧が妻を同席させていたとしたらその頭の中は

妻のことでいっぱいな筈ですから周りの車に

いちいち気をつかうことなどないありません。

やがて、しばしの沈黙のあと・・・・

ガチャっと運転席のドアが開き、

手にコンビニのビニール袋を持った坊主頭の肥満児が

車から降りてきました。

(あいつか・・・・)

暑さが耐えられないのか、小僧はパタパタと手で体を

仰ぎながらフゥフゥと喘いでいます。

「あっちーなー!」

そう言って苦い表情を見せる小僧の出で立ちは、

上半身は裸で下は白い短パンという格好でした。

ぱっと見た感じ、身長は小柄で170cmも無いように感じましたが

横に広く、体重は120kgぐらいあるように見えます。

だらしなく弛んだその体は動く度にブルブルと震え、

胸は女以上に垂れており、

腹は二段にも三段にも弛みきっていました。

顔の方に目を移せば、彩ちゃんや妻が言うのが頷けるほどの

ブサイクな面でした。

太っている方でも目鼻立ちがハッキリしており痩せたら格好よく

なるんだろうなという顔とこれは痩せても無理だろうという顔の

二通りありますが、この小僧の場合は明らかに後者です。

(こんな小僧にどうして?・・・)

そう思うぐらい酷い外見でした。

しかし・・・・

「マジあっちー!」

そう言いながら助手席の方へと向かう小僧を目で追っていた私

は突然ドキリとしました。

(な・・・・なんだ・・アレは・・・・)

重たそうな体を揺らして歩く小僧の短パンはファスナーが開いており、

その中からは巨大な肉棒が顔を見せていたからです。

ブランブランと揺れるそれはうなだれたままの状態でしたが・・・・

それでもハッキリとわかるぐらい大きな物でした。

私は無意識のうちにゴクリと喉を鳴らして唾を飲み込みます。

(この位置から見てアレって・・・・どれだけの物なんだよ・・・)

遠目で見てもわかるそのデカさに驚きを隠せなかったのです。

そして・・・・小僧がそれを剥き出しにしているということは

車内ですでに何かが起こっていたことを意味していました。

夏だというのに私は自分の体が冷たくなっていくのを

感じていきます。

「おい、行くぞ!早く出て来いよ」

左側に回り込んだ小僧がボンネットにビニール袋を置き、

助手席に向かってそう言うと・・・・

ゆっくりとドアが開き、中から人影が現れました。

赤いパンプスにタイトなスキニージーンズ、

スポーティなグレーのタンクトップに身を包んだその人物は

・・・・間違いなく私の妻でした。

無表情のまま、けだるそうに長い髪をかきあげる妻に近づいた小僧は・・・・

「へへへへ・・・・」

楽しげに笑みを浮かべながら妻を一瞥すると当たり前の

ようにその腰を抱き・・・

片手を伸ばすとタンクトップの上からやわやわと胸を

揉みはじめました。

「今日も楽しもうぜ、泪姉・・・・・へへへへ・・・・」

無遠慮に揉みしだく小僧の太い指が妻の胸の形を変えていきます。

(嘘だろ・・・有紀・・・)

私は全身から冷たい汗が滲み出るのを感じました・・・・



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身代わり、その30、なぜ妻はそんな小僧に惹かれてしまったのか








身代わり、その30、なぜ妻はそんな小僧に惹かれてしまったのか?

車に乗り込んですぐ、私たちは小僧の家を目指そうとしたのですが、

「あぁっ!・・ちょちょちょ・・・ちょっと待って!」

危ないところでした・・・

よくよく考えてみれば・・・・

彩ちゃんの車をデブな小僧は知っているのです。

この車で行ったら気づかれる。。。。

そう思った私は一度家に寄ってもらいウチの車に乗り換え、

小僧の家を目指しました。

小僧の家に向かうあいだ・・・・

私の頭の中を占めていたの以下の三つの事柄です。

一つは妻の安否。二つ目は小僧に対する怒り。

そして最後、これが最も大きな物でしたが・・・・

なぜ妻はそんな小僧に惹かれてしまったのか?

という疑問です。

彩ちゃんが話してくれたことの中に妻の男性遍歴や性癖に

関しての物がありましたが、

これらのほとんどを私は妻から聞いていました。

話を私たちが付き合う前に戻しますが・・・

当時、カラオケなどに行って仲良くやっていましたが正直に言えば、

私は妻に対してあまり良い印象を持っていなかったため、

妻からのアプローチに対して

若干(妻に言わせるとかなり)及び腰でした。

そこである時、妻は私を単独で飲みに誘い、

その席で自分がいかに真剣な交際を望んでいるか、

そして自分を知ってもらいたいと思っているかを述べ・・・・

相当酔っていたというのもあったのですが・・今

までの遍歴や好みなど妻の全てを包み隠さず話してくれたのです。

まあ・・のちに妻が語ったことによれば

「いままでも付き合いたいと思った相手にはみんなそうしてきた。

それだけのことよ」とのことでしたが(笑)・・・・

当時の私はこの姿勢に好感を抱いたんですね。

彼女は大きな嘘はつかない人だと思った私は

今までの自分の考えを改めて、

きちんとした形でお付き合いさせてもらうことにしました。

それ以降、お互いに相手の意見を尊重しつつも包み隠さずに

思ったことは言うというスタンスで続けてきました。

それはもちろん夜の方も同じです。

私は彼女から聞き出した色々な「彼女の喜ぶこと」

を自分になり消化しつつ接した結果、

「私の好みを一番分かってくれている男」という実にありがたい称号を

授かるまでに至りました(笑)

しかし・・・・

それ故に私には不思議で仕方なかったのです。

彩ちゃんから聞き及ぶそのデブな小僧とやらは、

容姿も性癖も妻の好みとは全くかけ離れた存在だったのですから。

無事でいて欲しいという思いと・・・

語弊を招く言い方かもしれませんが・・・

その小僧に対する好奇心が私の心を激しく揺り動かしていました。

「たしかにそこに薬局が・・・あ、あった!・・・

ここを左折して、と・・・・」

「もう近い?」

「はい。もうかなり・・・」

「そう・・・・」

辺りを見渡すと・・・

話に聞いていた以上に怪しい雰囲気の場所のようです。

なんともいえない場の空気が私の不安感を煽り立てます。

「この先に駐車場があって、

その奥にあいつのアパートがあるんですけど・・・

どうします?この辺に車停めてそこから先は歩いて行ってみます?」

彩ちゃんは車を徐行させながら聞いてきましたが、

私はとりあえず駐車場まで行ってもらうよう頼みました。

車はシーンと静まり返る中を走り続け・・・

やがて駐車場に到着しました。

「ここか・・・」

私はあえて光の届かない死角のような場所に車を停めてもらいます。

「あそこのアパートか・・・そいつの部屋は?・・・

うん・・1階の角だね・・わかった」

私は車を降りて部屋へと向かいした。

と、なぜか彩ちゃんも一緒に車を降りようとしています。

私としては彼女は小僧に顔を知られていますし、

彼女になにかあっても困るので待っていてもらいたかったのですが、

「ここでひとり待っているのはちょっと・・」

と言うので了承しました。

古びたアパートの前に立ってみると・・・

なるほど、想像以上に禍々しい空気が漂う建物のようです。

いくつか灯りは点いているものの人気はほとんど感じられず、

ひょっとしたら誰も住んでいないのでは?

と思うぐらいひっそりと静まり返っていました。

私は小僧の部屋だという角部屋へ向かいましたが・・・・

外から見る限り明かりは点いていません。

(いない・・のか?)

ドアの前に立ち、

中の様子を窺ってみても人がいる気配はありませんでした。

ふと目を上げて電気メーターを見ましたが、

こちらも回っておらず。

「いない・・・ようですね」

「そうみたいね・・・・なんだか拍子抜けしたな」

ふぅとため息をついたあと、

ここで待っているのもなんなので私たちはひとまず車へと戻りました。

「あいつの車がないので・・・外に出ているのは間違いないです・・・」

「そっか・・・じゃあ、まだクラブかな?・・・

それか、そのままホテルに連れ込んで・・・」」

「それはない!・・・と思いますよ」

「なんで?」

「だって、あいつお金なさそうだし・・・」

「ふ~む・・・・」

(難しそうだけど・・・やっぱりクラブに行くか・・・)

そう思って外をぼんやり見ていると・・・

遠くの方から明かりがこちらに向かってくるのが見えました。

(ライト?・・・車?・・・・)

目を凝らして見ているうち、

暗い闇の中を走るそれの排気音が聞こえてきます。

(間違いない・・・車だ・・・ってことは・・・あれか?)

確認してもらおうと助手席に座る彩ちゃんを見ると・・・・

「あ・・あいつの車です・・」

血の気の引いた顔でそう言いました。








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