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覚醒、その11、間男が死んじゃいました。

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覚醒、その11、間男が死んじゃいました。

その後の私は、以前よりやさしく妻に接し、夜は必ず裸で抱き合って眠りましたが、

セックスはしませんでした。

セックスをしなかったと言うより、出来なかったんです。

愛おしさから妻と裸で抱き合って寝ていて、それなりの満足感は有るのですが、

妻の裸を見ても、妻に触れていても、私の物は軟らかいままで変化しません。

妻を完全に許していても、頭の片隅に残っている、妻と加藤の光景を消す事が出来ないのです。

妻には申し訳なくて身体の事を言えず、今は抱き合っているだけで充分だと言っていましたが、

1ヶ月ほど経った頃、流石にこれでは駄目だと思い、結婚以来始めてラブホテルに行って、

指や口で妻を歓ばせましたが私に変化は有りません。

妻がその事に気付いたので。

「百合子、ごめん。どうも俺は疲れている様だ。」

「ごめんなさい。私の事が原因で・・・。」

「違う、違う、今まで色んな事が有ったから、ただ疲れているだけだ。」

妻は責任を感じて手や口で一生懸命してくれましたが、興奮はしても、やはり変化は有りません。

その後、家でも何回か試しましたが結果は同じでした。

ここのホームページを読み漁っていたのはこの時期です。

やがて2人の間では、セックスと言う言葉は禁句になり、私はもう自分の物で妻を歓ばす事は出来ないと、

男の自信も無くし、原因を作った加藤への嫌がらせ電話も、日増しに増えて行きました。

ところが、春も近い或る日、加藤に電話すると電源が切られていて繋がりません。

私はてっきり、電話されるのが嫌で電源を切られたと思いましたが、

その夜妻から、加藤が入院したと聞かされました。

病名は進行性の膵臓癌で、噂だと発見が遅れたので長くて2ヶ月だそうです。

加藤がやつれて見えたのは病気のせいも有ったのでしょう。

癌で騙し、本当に癌になってしまった加藤を可哀想だとは思えず、罰が当たったと思いました。

1ヶ月ほど経ち、身体の事で怨みを増していた上にイライラのはけ口を無くしていた私は、

とんでもない復習を思い付いてしまいました。

加藤の病状はかなり悪いので個室に入っていて、奥さんが付き添いをしているらしいと

聞いた私は、心配する妻を残して1人面会に行きました。

ノックをすると女の声で返事が有り、中に入ると。

「どちら様ですか。」

「宮本です。宮本百合子の夫です。」

加藤は力無くこちらを向くと、無言で私を見詰めています。

「はい、聞いております。奥様には主人が大変お世話になっております。」

にっこりと微笑みながら深々とお辞儀をした奥さんは、やさしそうな目をした綺麗な方で、

大きな胸が目を引きました。

『こんな素敵な奥さんが有りながら・・・・加藤の奴・・・。』

奥さんの笑顔に怯みそうになりましたが、胸のポケットから誓約書を出すと奥さんに渡し。

「いいえ、お世話になっているのは妻の方です。人には言えないお世話までして頂きまして。」

誓約書を読んでいる、奥さんの顔から笑顔が消えました。

「今月の振込みが無かったので来てみましたが、死んで行く者からは頂けませんので、

もうその紙切れは処分しておいて下さい。」

それだけ言い残して病院を後にし、家に着くと直ぐにこの事を告げましたが、

復讐を喜んでくれると思っていた妻は、寂しそうな顔をして無言で俯きました。

それから2週間程して、妻から加藤が死んだと聞かされ、妻が会社の同僚と御葬式に行った日の夜、

大事な話が有ると寝室に呼ばれ。

「あなた、あれから奥さんは、お医者様に呼ばれた時しか病院に行かなくなり、

死に目にも会えなかったそうです。」

「・・・そうか。」

「みんなは、奥さんの事を薄情な女だと言っていました。」

流石に私も後味が悪く、言葉が出ません。

「あなたは昔、喧嘩ばかりしていたけど絶対に弱い者には手を出しませんでした。

それどころか、弱い人を庇って喧嘩になった事も有りました。私はそんなあなたが大好きでした。・・・

あなたは相手がどんなに悪くても、死んで行く人にこんな事が出来る人では絶対に無かった・・・・。」

「・・・いや・・これは。」

「違うんです。あなたを責めているんじゃ無いんです。・・そうしてしまったのは全て私です。・・・

身体の事もそうです。・・・・全て私が・・・・。」

妻の目からは大粒の涙が、ポロポロとこぼれています。

「・・・百合子。」

「離婚して下さい。私と夫婦でいると、あなたは立ち直れない。

一生苦しみます。そんなあなたを見ていられません。・・・・お願いします。」

「・・・・俺の事を嫌いになったのか。」

「好きです。大好きだから・・・・・。」

この時、逆に私が妻を苦しめているのだと思いました。

「わかった。・・別れよう。その代わり、どちらかに好きな人が出来る迄一緒に暮らしてくれ。」

「いいんですか。」

「いいも何も、俺は百合子と一緒に居たい。明日離婚届を貰って来るから、それを出せば2人共自由だ。」

離婚届は書きましたが結局出す事が出来ず、妻には出したと嘘を付いて隠しておきました。

私達は、抱き合う事はしませんでしたが、同じベッドで寝て、今迄と変わらぬ生活を送っていました。

加藤が死んで4ヶ月程経った金曜日の昼休みに、私の携帯が鳴り、見ると加藤真一と表示されています。

「はい、宮本です。」

「突然のお電話で申し訳御座いません。私、加藤の妻で清美と申します。」

「あ・・この度はどうも・・。」

「いいえ、宮本さんには大変ご迷惑をお掛けしました。」

「・・なにか・・。」

「お電話ではちょっと・・出来ればお会いして・・お話しが・・。」

「私は今からでも会えますが・・・喫茶店かどこかでお会いしましょうか。」

「・・・・出来れば・・他の人に聞かれたく・・無いもので・・・。」

「それなら此処に来ませんか。2時位迄なら皆出払っていて私1人です。」

会社の場所を教えると30分程で来ました。

「突然申し訳御座いません。」

病院で会った時の清美さんはジーンズを穿き、化粧っけ無しのラフな格好だった為、

やさしそうな綺麗なおばさんという印象でしたが、今日はお洒落なブラウスを着て

化粧もしていたので、良家の美しい奥様に見えます。

「早速ですが、どう言うご用件でしょう。」

清美さんはかなり緊張していて、私と妻への謝罪などを長々と話しただけで、

2時に成ってしまい。

「失礼ですが謝罪に来られただけでは無いでしょう。宜しければ仕事が終わってから、

続きをお聞かせ頂けないでしょうか。」

「・・はい・・。」

結局、夜7時にコンビニの駐車場で待ち合わせて、車の中で続きを聞く事にしましたが、

いくら御互いに自由だと言っても、今から女性と2人で会うとは妻には言い難く、

また加藤に関する事はもう妻に話したくなかったので、

久し振りに夜釣りに行くと嘘を吐いて家を出ました。

待ち合わせのコンビニに行くと車の出入りが多く、ゆっくり話せる状態では無いので、

後から来た清美さんに場所の変更を言いましたが、とっさに口から出た場所は、

妻達が待ち合わせに使っていた公園でした。

公園の駐車場で、私の車に乗って貰い、話を聞こうとしましたが清美さんは

緊張している様子で、窓から外を見たまま一向に話しをしません。

「奥さん、そんなに緊張なさらなくても。・・お話しをお伺いしましょう。」

「ごめんなさい。主人以外の男の方と、あまり2人だけでお話しをしたことが無いもので・・・。

私・・宮本さんに・・お願いが・・。」

「私は奥さんに何も思っていません。むしろ奥さんに酷い事をしてしまったと思っています。

私に出来る事でしたら相談に乗ります。」

清美さんは、また外を見たまま何も話しません。

「奥さん。」

「・・・抱いて頂きたいんです。・・・・宮本さんに抱いて欲しいんです。」

「エッ・・・・・。」

暫く沈黙が続いた後。

「・・・ごめんなさい。・・止めておきます。」

清美さんがドアに手を掛けた時、私は咄嗟に左手で清美さんの右肩を掴んでいました。

私は男としての自信を無くしていましたが、それが妻に対してだけなのか、

全く駄目に成ってしまったのか知りたくて、隠れてアダルトビデオを見ましたが、

やはり妻の悶えている顔が重なり、身体に変化は有りませんでした。

風俗も考えましたが、駄目だった時馬鹿にされないだろうかと、

下らない事を考えてしまって行けませんでした。

昼間清美さんが帰ってから。

「この奥さんなら事情を知っているし、もし駄目でも訳を話せば馬鹿にする事も無いだろうな。

しかし、奥さんと俺は複雑な関係だし、ご主人を亡くされたばかりの未亡人と、

間違ってもそんな事になる訳無いか。」

そう思いながらも、ブラウスのボタンが弾け飛びそうな大きな胸を思い出していると、

少しですが私の身体に変化が有り、出掛ける時も、私の妄想だけでそんな事は有り得ないと

思いながらも、釣りに行く前に浴びた事の無いシャワーを浴びました。 

その妄想が現実に成ろうとしている今、清美さんを抱いてみたい、

男として大丈夫なのか試してみたいという欲望から、必死で説得を始めました。

清美さんがドアから手を放したので、私も掴んでいた手を放し。

「その事はいいとして、奥さんが抱いて欲しいと思われたのには、理由が有ると思うんです。

誰にも口外しませんので、私を信用して訳だけでも話してくれませんか。

話すだけでも少しは気が楽になると思うんです。」

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