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ケジラミ、その19、最終回です。

「私は若いころからずっと色々な女性遍歴を重ねて来ました。

結婚に付いてはあきらめていたつもりでした。でも、この年になってこれからもこんな生活を続けるのか、

年老いて一人になったらどうするのかと思うと急に焦りと、恐怖のようなものを感じるようになりました」

「紀美子さんに出会い、理想の妻というのはまさにこんな人かと思いました。

セックスについては奥手でしたが、開発して行くうちに素晴らしい肉体を

もっていることも分かりました。まさに名器といって良いと思います」

「ご主人のご指摘どおりです。私は奥さんを愛していました。

自分のものにしたいと思いました。でも、それが無理だと分かった以上、

未練がましく追いかけるつもりはありません」

「教えて欲しいことがある」

「なんでしょう?」

「あんた、女の前では関西弁を隠すのか?」

「そんなことはありません。これが地ですし、女を口説く時はむしろ関西弁の方が便利です」

「なら、どうして妻の前では関西弁を抑えていた?」

「それは簡単です。ご主人が標準語でしゃべるからです。奥さんからの希望でした」

「あと一つ聞いても良いか」

「はい」

「妻の……その、お尻の処女を奪ったのか」

「奪っていません」

春日は即答しました。

「しかし……妻はビデオで、あんたに捧げると」

「あれは言葉だけのことです。奥さんはご主人に許していない箇所を、

私に許すことはありませんでした」

独りの女を守り、多くの女を知らないまま年老いることに焦りを感じた私、

多くの女を知り、独りの女を得ないまま年老いることに焦りを感じた春日。

私達は似た者同士なのかも知れません。

春日と別れた私は会社に向かいました。一日休んだだけで仕事はかなり溜まっており、

木曜、金曜と私は業務に忙殺されました。金曜の夜、仕事を終えた私は新幹線に乗り、妻の実家に向かいました。

私は妻の実家の門の前に立ち、チャイムを鳴らします。

扉を開けて顔を出した妻は驚きに目を見開きます。

「あなた……」

「お義父さんのお見舞いに来た」

妻の後から顔を出した義母も私の顔を見て驚きます。

「家内がお世話になっています。お義父さんのお加減はいかがですか」

「おかげさまでここ2日ほどは調子が良くて、、XXXXさんには不自由をかけてすみません。

私もだいぶ良くなったので、紀美子には早く帰るように言っているのですが」

義母の言葉に妻はうつむきます。

「まあ、上がってください。あの人も喜びます」

私は家に上がると、病床に横たわる義父を見舞いました。

義父はしばらく見ない間に一回り小さくなったような印象がありますが、

思ったよりも顔色は良いようです。私は義父と義母と少し話し、病人が疲れないうちに妻の部屋に行きました。

しばらくすると妻がお茶をいれて上がって来ました。

「……有り難うございます。父も母も喜んでいました」

「いや……思ったよりも元気そうで良かった」

その先は会話が続かず、妻はじっとうつむいています。

私は妻にプロポーズした日のことを思い出していました。

始めに申し上げた通り、見合いして一カ月目のことです。その日にプロポーズするつもりだった私ですが

なかなか言い出せず、川べりの同じ道を何度も行きつ戻りつしたことを覚えています。

その日の妻も私の次の言葉を待つように、ずっとうつむいていました。

「メールを読んだ」

妻は弾かれたように顔を上げました。

「その後もう一度春日と話した」

妻の表情が緊張を見せます。

「春日にも聞いたことだが、紀美子にももう一度確認したい。どうして春日と関係をもった? 

俺との夫婦生活の悩みを解決するためとメールにあったが、本当にそれだけか? 

春日に対して本当に愛情はなかったのか? 愛とはいえないまでも、情のようなものはなかったのか」

妻はしばらく唇を噛んで黙っていましたが、やがて口を開きました。

「あなたとの夫婦生活に悩んでいたのは本当です。

特に、あなたが風俗に行くようになるとその悩みは大きくなりました。

あなたは私が気が付いていないと思っていたようですが、色々なことからすぐにわかりました」

「どんなことで?」

「お店に行く日のパターンが決まっています。第2、第4水曜日とか……。それと帰ってきた時の汗の臭い。

女の子の名刺がワイシャツのポケットに入ったままのこともありました」

うまく隠していたつもりですが、妻にとっては普段と違う私の行為を見破るのは容易だったのでしょう。

「私がセックスについて淡泊とあなたは思っていたようですが、人並み、いえ多分それ以上の

興味がありました。特に子供を生んでしばらくしてから……。

あなたに対してそれを言い出せなかったのは恥ずかしかったこともありますし、

やはり、最初の体験の痛みへの恐怖があったのだと思います」

「小夜子から春日さんとの体験について聞いたのは一昨年の暮れごろです。

小夜子も私と同じように、それまで本当のエクスタシーを知らなかったのですが、

春日さんとの関係でそれを感じるようになり、夫婦生活もうまく行くようになったといいました」

「夫婦生活が改善するというのも魅力でしたが、私は小夜子が語る本当のエクスタシーという

言葉に引かれました。女として生まれて40年にもなるのに、このまま本当のエクスタシーを

感じないまま年老いるということが、とても寂しく感じました」

「俺と一緒にそれを追求しようとは思わなかったのか?」

「そうすべきだったのかも知れません。でも私は、自分の身体のどこをどうすれば

感じるのかすら分からなかった。

それに、私がそんな欲求を持っているということをあなたに告げるのが恥ずかしかった。

軽率でした。申し訳ありません」

妻は深々と頭を下げます。

「どうしてビデオや写真をPCに入れていたんだ?」

「あなたに見られるとは思っていませんでした」

「あんな簡単なパスワードなのにか? 手帳にシールまで貼っていたぞ」

「あなたの脇の甘さを笑えませんね……」

妻は苦笑しました。

「パソコンの設定はパスワードを含めてみんな春日さんにやってもらいました。

ファイルのコピーもです。春日さんは自分だけがビデオや写真を

持っていると私が不安だろうという理由で

私のパソコンにファイルをコピーしました」

「あの時の顔や身体、恥ずかしい格好を撮られて春日さんに見せられるのが始めは嫌でした。

そのうちに、後で自分で一人で見るのがだんだん楽しくなって来ました。

ああ、自分もまだまだこんなに奇麗なんだ、こんなに男の人を興奮させることができるんだと

思うと嬉しかったんです。時々それを見ながら一人で……」

以前の妻はこんな露骨なことを言う女ではありませんでした。

春日に開発されることで妻は変身してしまったのでしょうか。

変わったと言えば私もそうです。春日もそうでしょう。人生の秋を迎えて、

それまで自分に似合うと思っていたものが急に不釣り合いに思えてしまう。

あわてて脱ぎ捨てて新しい季節の衣装を懸命に探す。

「私と離婚しますか?」

妻は顔を上げて私をじっと見ます。それまでの私に詫びるような気弱な表情ではなく、

まるで牝として私を挑発しているように思えました。

妻は本当に春日に心を奪われなかったのでしょうか。春日が話したようにあのビデオは

合成や編集が行われたものなのでしょうか。

妻は本当にビデオや写真を私にみられることはないと思っていたのでしょうか。

私は徐々にそんなことがどうでもよくなってきました。ここにいるひとりの女を

自分のものにしたい、思う存分犯したいという獣のような衝動が身体の中に

湧き起こってきたのです。それは私にとって極めて新鮮な感覚でした。

私はしばらく考えるふりをして、口を開きました。

「いや、離婚はしない」

妻の顔色がパッと輝きました。

「だが、ケジメはつけてもらう。春日には慰謝料を請求し、二度と関係しない旨の

誓約書を書いてもらう。慰謝料は……50万円くらいで良いだろう」

「私にも……慰謝料を……」

「紀美子の場合は慰謝料などではすまない」

妻の表情が急に曇ります。

「着ているものを今すぐ全部脱げ。素っ裸になってこれを大声で読み上げろ」

私は用意していた1枚の紙を妻に手渡します。妻の顔がみるみる赤くなりました。

「許して……階下の父と母に聞こえてしまいます」

「もうぐっすり休んでいるから大丈夫だ」

「でも……」

「離婚されてもいいのか」

妻は覚悟を決めたように服を脱ぎ、素っ裸になると直立の姿勢をとり、

口を開きます。

「ひ、一つ、チンポ大好きの……」

「声が小さい!」

私は妻の大きなヒップをピシャリと叩きます。意外と大きな音が部屋に響き、

妻はおびえたような顔付きになり、声を張り上げました。

「一つ、チンポ大好きの淫乱妻、○○紀美子は今夜、最低8回はイクことを誓います」

「一つ、チンポ大好きの淫乱妻、○○紀美子は今夜、愛する夫であるあなたにお尻の

処女を捧げることを誓います」

「一つ、チンポ大好きの淫乱妻、○○紀美子は今夜、お口、オマンコ、お尻の3つの穴を使って、

愛する夫であるあなたに3回は気持ち良くなっていただくことを誓います」

「以上、3つの誓いに違反した場合は、どのようなお仕置きも喜んでお受けすることを誓います」

ようやく言い終えた妻はそれだけで気分が高揚したようで、身体をふらつかせます。

私は妻をしっかりと受け止めて、片手で乳房を乱暴に愛撫しながらもう一方の手で

秘園をまさぐりました。

そこは早くもじっとりと潤っていました。私は指先を濡らした愛液を

妻の頬になすりつけるようにします。

「淫乱女め……」

「ああ……」

妻はうっとりと目を閉じました。私は妻の唇を奪うと、ベッドの上に押し倒しました。


その夜、妻が三つの誓いをきちんと守ったかどうかは読者の皆様のご想像にお任せします。


(完)

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