元妻物語、その8、私とは距離を置いているという感じでした。
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元妻物語、その8、私とは距離を置いているという感じでした。
帰りの貸切バス２台がホテルの玄関前に到着しました。
私は妻と話がしたくて、いち早く乗り込み、
妻が乗ってくるのを待ちました。
従業員たちが乗り込んできて、
思い思いの席に座り始めましたが、
妻がなかなか乗ってきません。
何をしているんだ、バスが出てしまうぞ…そう思いかけた時、
バスの運転手が後ろを向いて声をかけてきました。
「それじゃあ、出発しますよ」
私は慌てて制止しました。
「ちっ、ちょっと待ってください。
もう１人…美由紀さんがまだです」
その時、後方の座席から従業員の１人が叫びました。
「おーい、バーテンさんよ、美由紀さんなら向こうの車両に乗ってるぜ」
「えっ！！…」
私はビックリしてもう１台の車両を見ると、
確かに最後尾の座席に妻の頭が見えました。
「いいですね、発車しまーす」
なんだよ…どうして妻は向こうの車両に乗るんだ？？…
どうも今朝から妻の様子が変でした。
疲れているようでもないのに少し元気がない、
というより明らかに私を避けているとしか思えません。
やっぱり昨晩何かあったんだろうか…
私は妻にメールを送ってみましたが、返事はきませんでした。
２時間ぐらい走行した後、
トイレ休憩で高速道路のサービスエリアに止まりました。
私は妻が降りてくると思い、
バスを降りて妻が出てくるのを少し離れたところで待ちました。
数人の従業員の後に妻が降りてきました。
私は妻に話しかけようと思い近づこうとして歩き始めましたが……
妻の姿を見て、足が止まってしまいました。
妻は昨日とはまったく違うラフな服装でしたが……
「ヘソだしルック」というやつでしょうか、
どう見ても１０代か２０代前半の若い女性がするような格好でした。
脚の付け根まで見えそうな丈の短い短パン、
そして身体に張り付いたノースリーブのＴシャッは
短すぎてヘソが丸見えです。
妻は子供を産んでいますから、
ヘソの周りにはやや妊娠線が残っていて、
私にすらお腹を見られることをすごく嫌がっていました。
まして、最近は少しお腹が出てきたと嘆いていたのに、
従業員はもちろんのこと、
サービスエリアにいる大勢の人の前で惜しげもなく
下腹部を晒していました。
どちらかというと地味なタイプの妻が
一体どういう心境の変化なのか、
まさか社長に言われてこんな格好をしているのか……
妻の後ろから社長も降りてきました。
２人は触れるか触れないかぐらいにまで接近したまま、
連れ立って休憩所の方向へ歩いていきました。
やっぱりどうも怪しい…
妻と社長に何かあったに違いないと思いました。
するとママが降りてきたので私は呼び止めました。
「ママ、美由紀の様子がどうも変だ。昨日何かあったのか？」
「そう？私にはそういうふうに見えないけど…」
ママはやや首を傾けながら言いました。
「どうも俺を避けようとしているし、
それにあんな格好するなんて…」
「あーっ、いいじゃない。美由紀さんスタイルいいし、
私のお店でミニをはいてから目覚めたんじゃないの…
ほらっ、美由紀さん 男性の注目の的よ」
ママはすこし笑いながら言いました。
妻は自販機で買ったジュースを飲みながら、
社長に寄り添うようにして微笑みながら立ち話をしていました。
ヘソを隠そうともせず、
むしろ見られることを楽しんでいるようにも見えました。
わざと妻の近くまで来て、
煙草をふかしながら舐め回すように見ている男もおり、
私はイライラしてきました。
「それにしても、あれはどう見たって３８で
子供がいる主婦がする格好じゃないぜ」
「若く見えるからいいじゃない、
２０代後半か３０代前半って感じね。
旅行なんだから、美由紀さんも少し大胆になって
羽を伸ばしたいのよ。家に帰ったらきっと
普段の美由紀さんに戻るわよ」
ママに言われてそうかなとも思いましたが、
どうも釈然としません。もう旅行も終わりなんだし、
スナックにいるわけでもなく、
今さら男の視線を引くような服装をしなくてもいいのに…
その後の昼食会場でもサービスエリアでも妻の態度は変わらず、
私とは距離を置いているという感じでした。
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