不思議な幸福感、その6-2、自分の非力さと情けなさで涙が出るほど悔しくなりました。
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不思議な幸福感、その6-2、自分の非力さと情けなさで涙が出るほど悔しくなりました。
会社からの電話の内容は、妻が会社を三日間休んでいるという事でした。
初日は電話連絡が有ったそうだが、
二日間は会社からも連絡が取れないという事で
自宅に連絡をしてきたのでした。
妻はマンションを借りている事を会社に話していたそうだが、
住所までは報告していなかった様でした。
慌てたのは子供達でした。
直ぐに私と三人で、妻が住んでいるマンションに向かったのです。
マンションは一等地に有り、建物も豪華な様相でした
妻から合鍵を渡されていなかったので、管理会社に連絡を取り、
私達の身分照会を済ませて
管理人同伴で部屋に入りました。
「佳代子!」「おかあさん!」声を掛けながら入室して、
左側のドアを開けると、そこはベットルームでした。
ベットには布団を被っていましたが、人影が有ったので、
「おい! 佳代子!」と声を掛けましたが応答が有りません。
そっと掛け布団を捲ると、妻が身体を円くして寝ていたのです。
顔をよく見ると赤ら顔になっていて、熱が有るのが直ぐにわかりました。
近くのテーブルに体温計が有ったのでそれを見てみると、
39度 直ぐに病院に運ぶ事にしたのですが
私達は電車でマンションに行っていたので、
少し躊躇したのですが仕方が無く救急車を呼んだのです。
結局、妻は肺炎を起こしていて、即、入院でした。
私達は妻が入院するとは思ってもいなかったので何も用意していませんでした
妻の住んでいるマンションに再び戻り下着やパジャマ等を取りに帰ったのです。
ベットルームに入りクローゼットのロッカーから下着を取り出すと、
その派手な下着に子供達は驚き笑い
私は焦りだしました。
長女がクローゼットを開けた時に近くに有ったゴミ箱をひっくり返し
中に入っていた使い終わったティッシュなどが床に撒き散らしたのです
その時にティッシュの一部からむせ返る様なあの匂いが部屋中に充満したのです。
子供達は妻のシースルーの下着やどちらが前なのか判らない様な紐パンを
見て笑い転げていましたが
むせ返る様な匂いには子供達はまだ無知でした
むせ返る様な匂いが精液だと判ったのは私だけでしたが、
私はベッドルームから逃げ出し廊下の斜め向かいにあったパウダールームに
入ったのです。
しかし、そこでも私は証拠を発見してしまったのです。
歯ブラシが二本、男物のシェーバー、ローション…
子供達がベッドルームから出てくる気配がしたので、
近くに有ったバスタオル数枚とタオルも数枚、洗面器を持ち
パウダールームからも飛び出したのです。
「こんなもんで良いかな?」廊下で鉢合わせた子供に訊ねる様に言い、
パウダールームのドアを背中越しに閉めたのです。
「このマンション豪華で広いよね!」
「一人で住むにはもったいないよね?」
子供達は矢継ぎ早に私に語りかけてきました
リビング・ダイニングに入ってみるとダイニングテーブルとリビングには
ソファーと大型の液晶テレビが有りました
「おかあさん一人でズルイよね!」
「私達もここから通ってみる?」何も気づいていない子供達は呑気なものです
母親が入院するというのに、
そして男とここで秘め事をしているのも知らずに…
私は子供達を諌め、病院に向かう様に言いくるめ
その部屋から早く出る事にしたのです。
病院に行くと病室も決まりベットで点滴をして寝ていた妻がいました
私達に気づくと妻は「ごめんね! ほんとうに迷惑を掛けて…」
子供達と私に謝り続けていました
私はまともに妻の顔を見ることは出来ません、
妻も私に視線を向ける様子もありませんでした
長年、夫婦をしていると、何となく今は触れないで置く方が良いと
二人とも思っていたのです。
暫らく病室に居たのですが、
看護師さんから病人が疲れるので今日は帰る様に勧められ私達は
帰路に着いたのです
私は仕事で人に会うから子供達だけで家に帰るように言って、
三度、妻のマンションに向かったのです。
別に何の用も無かったのですが、部屋に入りダイニングテーブルの椅子に
座りボーっとしていたのです
部屋からは西の空に夕焼けが綺麗に見えていたのですが、
気づくと回りは漆黒の闇に包まれていました
すると突然、オートロックのドアが開いて男が部屋に入ってきたのです。
リビング・ダイニングのドアが開き、部屋の灯りを点けて、
そこから入ってきたのは あの通訳でした。
「えっ???? 何??? 」私のすっとんきょな声と姿に通訳は驚きました
「どうして?? なぜですか??? 貴方がここに???」男も狼狽していました。
私は妻が入院した事などを男に話すと、男も私に言い訳話を始めました。
しかし、私が驚いのは入居当初から妻と男が一緒に住んでいたことでした。
そして、男は強引に今日は帰るように私の腕を
掴み部屋から出て行けと追い出したのです。
あの日は気が付きませんでしたが、
この男も180ｃｍ以上有り腕力もとても強いのです。
帰路に着く電車の中で、
私は自分の非力さと情けなさで涙が出るほど悔しくなりました。
１０日後、妻が退院して自宅に戻ってきたのですが、
妻は翌日、挨拶がてらに会社に行くというのでマンションに帰ったのです
そして、一ヶ月妻は自宅には戻って来ませんでした。
何度か私は妻に連絡を取ったのですが、
「休んでいたので仕事が忙しくて帰れない！」その一点張りでした。
そんなある日、妻から連絡が有りマンションに
来て話を聞いて欲しいと言ってきたのです。
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